引き篭りニートの親、VRゲームにハマる
俺、別に、あいつのこと
仲間にしても
良いかも
◆
〜あるドラゴンの視点〜
どうわけだか、しんねーけど人間と言葉が通じます。この人一体なんなのか?
ドラゴンな俺を人間だと勘違いしてるし、人間の方をモンスターだと勘違いしている。それを指摘しても、全く理解してくれない。
そいつは友達になって欲しいらしい、一緒にモンスター狩り(人間狩り)をして遊びたいのだとか
しかし、人間強いから俺的には隠れていたいの。
だから、ほんまに勘弁してくれ
え?
なにこれ? くれるの?
これは確か人間つけてたやつだ。
魔法のマント? 装備すりゃいんですかい?
ちっちゃいから、爪に巻き付けるね
な、な、な、な、ななな、な、な、な、ななな、な、な、な、ななな、な、な、な、なななにこれん
なにこれ? 何このスピード感! めっちゃいい、
超気持ちいい!
これだけ凄いと、俺、人間様に勝てるんじゃねえの?
よし、いっちょやったるで!
母さん殺された恨み、晴らしたるで!
待っとけ、人間ども!
◆
ある時を堺に、ログインしても10分でログアウトしてしまうゲームなった。
清十郎は仕事で忙しかったから、事情を知るのは後になるが、一部始終を見ていた目撃者の証言によると、「プレイヤーキラーが現れて、しかもそいつがドラゴンを従えているという。ドラゴンは魔法のマントを指先に6つ装備していて、破壊力が、とびきりすごいボスになってる。プレイヤーが1万人が束になっても全く歯がたたない。恐らく1000万人くらいのプレイヤーが力を合わせないと勝てないのだと専門家は予想していた。
《清一視点》
それにしても、
ドラゴン使い魔ってなんなのだろうな?
俺は見たことないのだが、本 当 にいるの?、ログインして10分も持たないとか、それ初心者プレイヤーでしょ?
でもまあ、安心しなさい、新キャラが解禁されたら、初心者も気楽にプレイでき
るゲームバランスになるからね。
さて、今日も頑張ってバク探ししよう、
バク探しのついでにモンスター狩り
しようね? ちょっぴり大きな相棒さん!
あとがき
ドラゴン使いの正体は清一だった。新キャラ使用によるバグなのかもしれないが、ゲームメーカーはそのバクを直ぐに特定する事ができなかった。
◆
《清十郎視点》
ある日、清十郎がログインしたとき、案内メッセージが画面に表示された。
《プレイヤーの方々、大変お待たせして申し訳ありません。システムのバグは復旧され、
ドラゴン使い魔なるイレギュラーなキャラクターは出現しなくなりました。皆様には大変な御迷惑をおかけ……》
清十郎はログインして直ぐ、息子のアカウント吉井清一が何処にいるか調べた。
ナビが表示される
《申し訳ありません、このプレイヤーは清十郎をブロックしているので、プレイヤー情報を見る事はできません》
ログインしているか、ログアウトしているかどうかも調べられない。ブロックされて初めてブロックの仕組みを理解した清十郎
(どういうことだろうか? )
首を傾げる清十郎。
(もしや、果たし状を断ったのが原因か?)
(もしやストーカーしてたのがバレたとか?)
(それは有りうる
ファンが後ろからぞろぞろ、ついてきて
たし、清一の相手をしないでファンの相手をしている訳だから、呆れられてしょうがない。
ごめんよー!、清一!!
《清一視点》
モニター調査が途中(必要時間1000時間のうち200時間で打ち切りに、報酬は凡そ5万円)で打ち切りになってしまった。理由が良く分からないが、新たなモニター依頼があり、今度も報酬が貰えらるらしい。清一はオカネの為張り切ってログインした。
キャラクターデザインは
なんと、藤井選手のキャラデザインだ。
クールビューティーな憧れキャラ。勿論職業は西洋騎士レイピア使い
清一は、このモニターをやるために生まれて来た気がした。
しかも強いから!
未来予知が9秒まで出来るとか、魔法発動時短とか
藤井プロの持ち技を、全て使いこなせる設定にしてある、ゲーム開始直後から最強設定なんて 正直やり過ぎじゃないか?
そうだ!
どうせ他のプレイヤーからは、ノーマルキャラにしか見えないのだから、
このまま、上級プレイヤーに戦いを挑んでみよう。藤井プロは四天王プレイヤーの内の一人にしか過ぎない、他の四天王と藤井様と、どっちが強いか、比べてやろう。
《清十郎視点》
清十郎はゴハンを作りながら何気なく、テレビのニュースをみた。
VRゲームをプレイ中にヘルメットデバイスの感電事故があり、被害者一名が意識不明の重体だという。警察は何者かがヘルメットに細工をした痕跡を確認、殺人未遂事件として捜査をしているという。
◆
ある熟練のプレイヤーはゴーストを匠に操り、密かにプレイヤーの心を読んでいた。それが趣味だと言われれば盗聴的行為であり、人としては立派なものではないが、その者は、ありとあらゆるプレイヤーの心を読む果てにモンスターの心も多く読んでいく様になっていた。判ったのは…
『全てのモンスターが死を恐怖していて、それに抗うから、プレイヤーとの抗争が起きてしまう』
もし言葉が伝わるなら、
《ゲームの世界はモンスターの世界でありプレイヤーは慎ましくして欲しい。マナー守ってくれるならいいけど、荒らすなら出てけ!》
はっきりいって、モンスターの思考回路は人工知能そのものだ。リアルに作りすぎて、意思を持ってるとしか思えない。
もしモンスターが人間の思考を操る術を身につけたら、ゲームの世界から人間世界に干渉(コントロール)できるかもしれない。
洗脳魔法が、あるのかないのか、このゲームならば、作れそうな気はするが……
もしかしたら知らないところで、既に洗脳されてて、洗脳に気付けないように脳を弄られているかもしれない
先日、ヘルメットデバイスの感電事件があったが、その時刻、被害者プレイヤーは、あるプレイヤーと対戦していた、という報告がある。対戦を観戦していたプレイヤーの証言だと、ゲームオーバーして直ぐに感電被害が起きたのだという。
まるでゲームで死んだら現実でも死ぬというオカルトホラーである。
もしかしたら人工知能を持ったモンスターが人を洗脳してきた結果、遂に現実世界の人を操り、攻撃してきた。ということではないか
モンスターは皆、死ぬことを恐れている。だったら「殺される前に先に殺してしまおう」そう考えても不思議ではないはず。
プレイヤーはモンスターと仲良くした方がいい。
さもなくば……
◆
◆
日本時間午後9時頃、
ネットカフェにて椅子に座り、ヘルメットデバイスを装着し、これからゲームにログインしようとコンピュータの電源を入れようする。
作品名:引き篭りニートの親、VRゲームにハマる 作家名:西中