引き篭りニートの親、VRゲームにハマる
ここまでバグらしいバグは見当たらなかったが、街の中にはモンスターが入り込むという珍しいバグを発見した。低級モンスターであり、放置しても問題は無いが、一応バグ報告をした。
あまり新キャラとは関係ないバグに思うが
そのバグ以降、特に問題は見つからす、ひと通り街を隅々まで回ったが問題ない。
「初心に戻って初心者がやるような事もしてみよう」
清一は掲示板から初心者向けのミッションを選んだ。「魔法武具の製作手伝い」を選んで魔法図書館に向かった。
初心者といえば、清一が最初にここに来た時は、魔法学校なるものがあって、そこでベテランプレイヤーたちから魔法を学んた。ボランティア的に教えてくれるのだが、ある種の出逢い系の場になっていて合コン会場みたいだった。
学校を作ったのは図書館を作った人と同じで、だから理念に合わなかったのかもしれない。清一が卒業してすぐに学校は閉鎖された。
そう言えば学校跡地はどうなってるのだろう?
取り壊すに勿体無い感じのゴージャスな城だったから、今でも残ってると思うが…
清一は図書館に行く前に先に城を見に行く事にした。
◇◇◇
城は閉鎖されていてバリアにて入れない。
諦めて帰ろうとしたら、どこからか声をかけられ
「お兄さん、ちょっと、麻薬とか興味ない?」
姿は見えない、きっとステルス系のアイテムを装備しているのかも
清一は麻薬に興味あったがカネはない。引きこもりなので知識を得る機会も豊富だから麻薬の害も詳しい。
「無料なら貰ってもいい。」
もしかしたら、意識が無くなる様な合成薬物かもしれない
清一は貰ったら、通報する気でいる。
流石に無料はダメだった。麻薬の売人は去って行った。アカウントは非公開設定されてたから、名前しか分からなかった。一応通報だけはしとこうか
システム管理者宛と警察のサイバー犯罪対策課にメールを送信してると
さっきの男が走って戻ってきた。
男はステルスが解除さてる様で、一人街中を嘆き悲しみ歩いていた。
どうしたんだろう?
男
「さっき、向こうの路地でプレイヤーキラーが現れて魔法のマントを取られてしまったんた!」
マントは希少性あるアイテム。昔はゲームでは手に入らなくてゲームを買った人から先着1000人にだけ配られた。
その後プレイヤー人口が増えていくと、魔法マントのオークション相場は1000万円を超える様になり、略奪行為、果てはリアルでの殺人事件にまで発展した。世間から責任を追求されたメーカーは急きょ対策し、魔法のマントをプレイヤーに無料提供し、オークション相場を下げたのだか、
折しもその事件がマスコミを騒がせメーカーの知名度も上がり、そらをキッカケにVRの参加者が倍増した。
結果的に5000万ものプレイヤー人口を抱える。そのキッカケになった事件であるが、プレイヤーが増えた分更にマントを量産したはずで、清一の知ってる限り、マントの価値は5万円程度に落ち着いた筈で…
とはいえ5万円は確かにキツイ。さっきまで麻薬の売人をしていた男に同情しない訳でも無いがー
「元気だしなよ、おっさん」
「はあ? 寝ぼけた事言うと殺すぞ!」
おっさんが言うには、今のマントの価値は200万円前後まで、回復しているらしい。
プレイヤー人口は5000万人から劇的に増えた訳ではない。マントの需要がどうして急激に増えたのだろうか?
「そんなもん決まってるだろ、メーカーがヤクザに脅されて裏取引をして、マントハンターを雇ってるんだよ」
きな臭いなあもう。そんなドラマ的なのはリアリティーが無いから信じれない。
マントの盗難なんか蔓延ったら、プレイヤーがゲームにから去っていくし、ライバルのゲームメーカーにプレイヤーを横取りするチャンスを与えるだけだよ。
「そうじゃないんだ。ライバルメーカーも全部、ヤクザに脅されてるのだよ」
それこそ無茶な考え方。ヤクザかをそんなに優秀な訳が無い。
清一は男を放置してゲームを再開した。
魔法図書に魔法武具の製作手伝いバイトをしに行くと
人だかりができていた
清十郎の姿を見つけた
そういえば清十郎というプレイヤーは初心者だったな。今や知らない人はいないから、こうして人気になっているのか…
ファンa「じゃあ、清十郎さんは引きこもりの子を探す為にゲームをやり始めたんですか」
ファンb「でも、そのおかげてトーナメント入りして1億の賞金勝ち取ったんだから、やって良かったですよね、ほんと」
ファンc「賞金はチーム全員と分け合って手元には、2000万位あると噂に聞きました。何に使うつもりなんですか?」
ファンa「そんなの子供の為に使うに決まってるじゃない。将来の為に貯金して終わりよ」
ファンc「えー! そうなの? 折角だから使えばいいのに。貯金したら、余計、引きこもりから出られなくなるかも、なのに」
》清十郎視点《
安易にファンと雑談してしまったが、どうやって、縁を切ればいいのだろうか、
そういえば、さっちゃん(西中の娘)は親をブロック登録して逃げたらしい。
清十郎はファン達のアカウントをブロック指定し、ログアウトした。
ー吉井清一視点ー
ファンa「ちょっと何あいつ、あいさつもろくにしないでブロックとか、ありえないんですけど」
ファンb「私らなんも悪いこと、してないよね? なんで虫けらみたいに扱われんと、いけんの?」
ファンc「もしかしてオカネの話したから、金目あてだと思ったとか? だとしたら心が狭いねー」
ファンa「折角こっちも、引きこもりの子を探そうって気持ちになってたのに、なんかどうでも、良くなってきた」
ファンb「あんなんだから子供、引きこもったんじゃね? マイペースを押し切る態度とか、空気読めない感じするし」
ファンc「親があんなんだったら、確かにウザイかも。忍耐がないし、我慢したりできないなら、最初から関わらんで欲しかった」
ファンa「だよね! そう考えたら息子さんが不憫に思えてきた。何歳か知らんけど若い子だったら、慰めてあげたいな♥
ファンb「モテキャラが引きこもるわけないでしょ。BL漫画の読み過ぎ(笑)」
◆
あるゴーストの視点
住処に、とんでもないヤバイ奴が現れた!
火炎が物凄く怖い!
怖すぎるから、俺たち
みんな、逃げた。逃げまくった。
あの広場は普段人間が集まってるから近づかないのだけど、今日は流石に火の海でヤバイから、皆で避難して、皆で空に逃げようって思ってた。
ソイツのどこがヤバイ奴かというと
そいつは火炎で自分の同類を殺してまわったあげく、俺たちに話しかけてきたこと
なんかよう分からんけど、そいつ、俺らの事を仲間に引き入れようとしてて、しつこく話しかけてくる。怖いから逃げたかったけど、逃げたら俺らも燃やされる気がして、怖いから従おうか、どうしようか相談してたら、どっかに行っちまった。
やれやれ助かった。
皆、一安心だよ
ただ、正直俺は、あいつ、そんな悪い奴とも思えなかったんだよな
寂しそうな心の形だったし
結局、アイツは邪魔な人間を殺してくれたしな…
作品名:引き篭りニートの親、VRゲームにハマる 作家名:西中