引き篭りニートの親、VRゲームにハマる
「藤井の奴、まさか首を突かれて喉を潰されてるのに、魔法使うのだもんな。藤井が無詠唱魔法をあんなにも自在に操れるとか、流石に想定できなかった。やっぱり、あいつは次元が違い過ぎたわ、完敗だよ」
なぎ
「でも、すごかったし、あの藤井を一時とはいえ、退けたんのだから。」
竹内
「そうよ、だからトーナメントの方、私達の分まで頑張ってね」
池内
「藤井からちょろまかした強力な剣があるから、それを使ってくれ」
安井
「今度は喉を突いたら、そのまま首を切断してやりましょう」
◇◇◇◇◇◇
アナウンサー視点
「一回戦目! いきなり清十郎と藤井の試合、両者休憩中にアイテムで回復して万全の態勢である!
「今回、清十郎選手はリーチの長い槍ではなく剣を持っている! 池内選手が藤井選手からちょろまかした高価な剣であり、最強クラスの威力があるだろう。 剣道の経験があり、それを活かした戦い方をするかもしれない! 対して藤井選手は職業が西洋騎士レイビア使いなだけにレイビアを携えてる! バトルロイヤルでは、チーム清十郎にしてやられたが、この戦いではきっと! 王者の力を見せつけることになるだろう!」
◇◇◇◇◇◇
清十郎は剣道の構えをした。学生時代の頃を思い出す。息子に教えた頃を思い出していた。
清一は清十郎と藤井の戦いを見ていた。
剣道の動きをする清十郎を見ていると父親と稽古をしていた時代を思い出し、レイビアで戦う藤井を見ていると学生時代のフェンシングを思い出した。どちらも良い思い出だけが思い出された。
清一はバトルロイヤルで藤井に殺られたが、王者と戦えたことが嬉しかった。
清十郎はバトルに必死である。
藤井はどこからともなく剣を飛ばす。清十郎を取り囲む様に無数の剣が、黒ヒゲ危機一髪の様に刺さり、半分くらいの剣は池内の財布に入った。池内はこれを売ったお金を何つかうのだろうか
清十郎に剣が刺さるが急所ではないので回復魔法で治療する。藤井みたいにMPが高い訳でないから、できるだけ、避けるけ受け流し、隙を伺ってる
藤井はレイビアで攻撃しながら、清十郎の周りに剣で出現させ飛ばす。清十郎は上にジャンプで逃げる、合わせるように藤井にもテレポートで近づき、斬り合う
清十郎は夢中で我を忘れて没頭していた…
◆
ゲーム初心者の清十郎がバトルロイヤルで藤井を押し退け、トーナメント入りして再度藤井と対戦したことは、業界的での注目の的になった。
メディアでニュースとして報じられ清十郎の存在を知らないゲーマーはいない程、清十郎は有名になってしまった。アカウントには多くのファンからエールのメッセージが送られ、そのファンの中に清一の名前を見つけた。
息子も清一という名前。名前が同じでも別の人かもしれない。
清十郎は吉井清一から送られたメッセージを読んだ
内容は対戦の申し込みであった。対戦を申し込むメッセージは吉井清一以外のプレイヤーからも多く来ていたから、対戦申し込みされたこと自体は、あまり驚く事ではなかった。
清十郎は対戦の条件として、負けた側がゲームを辞めることを提案した。
吉井清一からの返事はなかった。
息子がゲームに嵌って抜け出せないなら、辞めさせればいい、と考えたからであるが、
清十郎は吉井清一の普段何をしているのかストーカーの様に監視した
吉井清一はソロプレイヤーで一人寂しくゲームをしている様に見えた。が、時々笑顔を見せる事もありー
ただ、吉井清一は、かなずしも毎日ログインしてる訳でもなくー
清十郎の息子の清一は一日ずっと部屋から出てこないから、
清十郎の思い違いで吉井清一は息子とは違う人物なのかもしれない。
〜吉井清一視点〜
大会終了後、吉井清一はメーカー側からメールを受け取った。内容は
バトルロイヤル参加者の中で珍しくソロをしていたこと、及び、プレイ時間が人よりも長いことから、ゲームに愛を感じられたという御礼のメッセージが述べてあった。
〈つきましては当社の新たなプレイヤーキャラを試供して頂きたく……〉
つまり吉井清一にゲームメーカーから、モニター調査の依頼が来たのである。新キャラを使用してゲームをしてバグ等がないかチェックして欲しいそう。報酬は半年間で日当ベース5000円程が支給される予定で、約1000時間のプレイを目安に頑張って欲しいらしい。
〈新キャラを使ってのプレイは、他のプレイヤーにはノーマルキャラにしかみえない。また新キャラの情報については守秘義務があり、みだりに他人に教えてはならないー〉
「なるほど。」
吉井清一は免責事項を確認し、モニター調査を快く引き受けた。
ゲーマーにとってはゲーム作りに関われるから嬉しいサプライズでもある。断わる理由なんてない。
しかも日当5000円までついてくるのだから。、1000時間どころか、1万時間でもやってやりたい気分である。
清一は新キャラをプレイする為、一旦ログア ウトし、メーカー側が用意してくれた専用アカウントでログインした。
ログイン直後、最初ダンジョンでゴーストのモンスターが出てきた。幻覚攻撃で化け物が襲ってくる
新キャラには職業設定がない代わりに、初期から中級魔法をいくつか覚えてるようで
清一はファイア―ストームを唱えてゴーストを燃やした。
どうやら新キャラは初心者を考慮したゲームバランスになる様に設定されてる。ダメージを受けると痛みが発生してしまうゲームなので、多くのプレイヤーは初期のダンジョンを攻略する前に辞めてしまう。これまでのデメリットを補う形で採用される新キャラである。
「なかなか悪くない」ゲーム開始時から、いきなり広範囲魔法が使えるのは初見プレイヤーにとって気持ちよくプレイできる筈だ。
新キャラは見た目のデザインも変わってる。まるで女性受けするようなホスト顔で、ジャーニーズみたいなイケメン系。
そういうのが好きな若い女性プレイヤーを取り込みたいメーカー側の切なる願いが込めれている様に思える
ダンジョンを順調に進んでいると、プレイヤー達がたむろしている。飛び降りたらゲームオーバーするステージであり、
クリアするにはマントを見つけるか、ゴーストを手なずけるか、それらをプレイヤーから借りるしかない。
新キャラは重力魔法が使えるので、着地点に反重力を生み出せて安全に着地ができる。
つまり、新キャラを使ってれば、もれなくこのステージはクリアできるし、クリアできずにいるプレイヤー達を救助してパーティーを編成を作りやすくもできる。
この場合、反重力を地面に予め置きに行き、その後、皆でスカイダイブする格好になるだろう。
清一はプレイヤーたちに声を掛けてみた。
しかし、反応が帰ってこない。
プレイヤー達は何やらヒソヒソと会話している様で……
話しかけても無視するだけで
清一は訳も解らず、そのままその場を立ち去った。
清一は思った。
(やはり人付き合いは苦手だ。会話の仕方、自分では、まともだと思うけど、いつも上手くいかない。)
清一は最初の街に降りた。
街の中に入るとパレードが歓迎してくれる。
作品名:引き篭りニートの親、VRゲームにハマる 作家名:西中