引き篭りニートの親、VRゲームにハマる
「たとえ暇だとしても、アンタの様なとは遊びたくない」
向井
「なんだよそれ! 初対面でそれはヒド過ぎるだろ!」
向井は明らかに怒ってる。このままズルズル喧嘩が始まってしまうのだろうか
向井
「なんだよ、みんなしてシカトかよ、お葬式じゃないんだからさ、もっと明るくしようよ。ほら、あの遠くに見える山って凄くデカくて富士山の何万倍くらい、あるんだろうな……」
「去れ」
安井が切れた。
「いいから、早く去れ!、去れって言ってんだろ! 」
向井
「ちょ、いきなり何そんなにマジで怒ってんのさ、重い空気だから、盛り上げようと沢山、喋ってるだけなのに…」
向井の言葉に正論が入ってるだけに反論できない。安井は何かを言いたげだが、何も言わなかった。
安井が何も言わないので、向井は暇になる。
その間に向井は安井のプロフィールを見た様で……
向井
「何このブロフ(笑)金持ちの御婦人が、引きこもりの息子を探してるってwww」
安井は立ち上がると運転席に移動した。自動運転を解除してアクセル全開で向井の車に突っ込んだ
向井
「テメー! イキナリどういうつもりだ!」
安井
「ヒマなんでしょ? 遊んであげるよ?」
向井が追いかけ安井が逃げるカーチェイスが始まった。街を駆け抜ける2人。
歩いてる人にぶつかりそうになるが……
どうやら車に乗ると街中を歩く人(アンドロイド含め)の体は通り抜けるらしく、事故にはならないみたい。なので、構わずカーチェイスする2人
向井
「まて! コノヤロ! 俺に一言あやまれ!」
安井
「先に喧嘩を仕掛けてきたのは、お前だからな! お前がまず謝れ!」
向井
「何のことだか、さっぱり、わからん!お前、頭痛過ぎるだろ!」
安井の向井のハートビートに火がついた。
デッドヒートを繰り広げながら、目的地さっちゃんの居場所に、たどり着いた。
さっちゃんは沢山ある工場の1つ、その中に居るようで
清十郎達は工場の中をこっそり観察した
向井
「なんなんだよ、おまえら! そばに居るオレの存在とか、とことん無視かよ!」
あとがき
〜向井データ〜
職業軍人
軍人は弾薬等を扱える武器を豊富使いこなし、ヘリコプターや戦車等も装備できる。戦争関連のサバイバルイベントでは仲間に加えておきたい職業である
◆
工場の入り口で
こっそり遠目から西中の娘さんを見る清十郎たち
娘さんは男達に囲まれてチヤホヤされていた。
甘く囁く男a「ねえ、さっちゃん、また綺麗な景色の見えるホテル行こうか」
甘く囁く男b「僕とも行こうよ。僕が愛してるのは君だけなんだからさ」
弄べそうな男c「ずるいよ、みんな勝手に抜けがけしてさ、さっちゃん! そんなのより、僕の手料理を食べに家においでよ」
どうやら、さっちゃん(西中さんの娘さん)は、アンドロイドの男をはべらせて楽しんでいるみたい。
自分の意のままに操れるキャラを作り趣味の世界にドップリ浸っているみたい。
(さながらリアルダッチワイフ、あるいはリアルリアルドールだ。清十郎も若い頃にお世話になった)
『さっちゃん リアルダッチワイフ リアルリアルドール 』 でネット検索をしたら、販売サイトが出てきた。そこには宣伝文句として
現役小学生監修、仮想現実愛玩ロボット
「貴方を一途に愛すホストキャラ 1つ500円」
清十郎はともかく、竹内と安井の目は輝いていた。
安井「わたしは、あの黒髪少年の柳葉君欲しい」
竹内「わたしは金髪セクシーボイスの長谷川君がいいわ!」
安井と竹内は販売サイトから、購入の手続きを済ませた。さっちゃんの財布に1000円が入金された。
入金されて間もなく、安井と竹内にメッセージが届いた。内容はアイテムの受け渡し場所についてで、直接工場に取りに来る場合は即納入できるのだそう。
ちょうどすぐ目の前が、さっちゃんの工場らしい。竹内と安井は駆けていった。
「さっちゃんさん、先ほど購入した安井です。」「わたしも、今早速買った竹内です」
「わあ、びっくりしたー」
イキナリ話しかけられ困惑気味のさっちゃん、だが直ぐ笑顔になり「わあ、こんなに早く取りに来てくれるなんて、今までのお客さんで最速記録更新ですよ!」
さっちゃんは業界では結構名が知れた職人さんで、これまでに1000人のホストドールを作って販売してきた。小学生ならではの視点がマニアに受けて、3ヶ月程前にこの工場をファンから譲り受け、本格的に製作販売を始めたという。
3ヶ月前といえば、ちょうど学校に本格的に行かなくなった時期だ。たしか西中さんがそう言ってた。
竹内
「小学生なのに凄いの作るんだね」
安井
「こんな凄いの作れたら、楽しいだろうな〜」
さっちゃん、を褒めまくる2人。さっちゃんも照れている様で……
清十郎は思きって聞いてみた
「こんなに沢山作ってて学校の方は大丈夫なの?」
さっちゃんは少し怖い顔をして
「学校行っても意味ないから」と答えて、愚痴る様に語り出した。
内容はさっちゃんのお母さん(西中)が清十郎達に教えた事とそう違いないなかった
違うのは
さっちゃんは将来家業を継ぐのが嫌だが、、でも学校行って学業頑張って、親を養わないといけないのも嫌で、絶望して引きこもりしてる。
これらは多分、親である西中さんには語ってない。
親に気を使っていて語らない。のと、その気遣いの気持ちに気づかないまま、学校に行かせようとする親の態度が腹が立つそう。
『親は自分の事を解ってないし、ちょっと考えれば子供の気持ちくらい気付けるでしよ!』それが、さっちゃんが親を拒絶する理由だった。
さっちゃんは親に慰めて欲しい訳でも、家業を捨てて欲しい訳でもない。
ましてや家業のせいでイジメられたことを何時までも気にしてる訳じゃない。
さっちゃんは同性の母親だからこそ、娘の気持ちが分からない筈がなく、母親なら娘の気持ちが分かって当たり前。その様に思っていた。
さっちゃんは母親に失望したが、失望した姿を見せたら親不孝してる様に思えて、ずっと気を使う日々を送っていた。親の勝手な都合で許可してないのに部屋に入ってきて、作り笑顔をしないといけない。24時間対応で子役をやってたら、いつしか親に顔を合わせるのが億劫になり、部屋に引きこもる様になったら、ますます干渉的になってきて、まるで、さっちゃん自身で親を不幸に貶めてる様に思えてきて罪悪感で苦しでいた。
学校に行かない理由、さっちゃんは言わなかったが多分
学校に行けば、ただ親を甘えさせる行為の様に思えて、怒りで行く気がしないのだと思う。
さっちゃんはその頃、親の存在を感じるだけで吐きそうになったらしい。足音や気配、送られたメールの文字を見るだけ、着信音を聞くだけで、どうしていいかわからずパニックしたそう。怒りで殺意まで芽生えたとかで、精神を保つ為にVRの世界でストレスを発散させていたらしい。
作品名:引き篭りニートの親、VRゲームにハマる 作家名:西中