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引き篭りニートの親、VRゲームにハマる

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 その発散の延長に、たまたま現金収入が発生し、もしかしたら自立できて親との縁を切る事が出来るかもしれないと期待している。


 さっちゃんは一日の殆どを工場で過ごしている。


 清十郎が、西中さん親子の話を聞いて思ったのは
 さっちゃんと親の関係は、

【同じ家に住みながらも、心の距離は果てしなく離れている】





「ねえ、さっちゃん! 私、この商品宣伝するよ」私も匿名だし、ここなら全然恥ずかしくないし」

 竹内と安井は、さっちゃんのファンになったみたいで、

 さっちゃは元気よく笑顔で答えた。
「ありがとうございます! 」

 さっちゃんは、もしかしたら、このままでいいかもしれない。少なくとも、今は…




「ところで、さっちゃんは引きこもり知り合いいる?」
 安井が話の流れを読んで聞いた。

 さっちゃんは、仕事上女の知り合いは多いが、男(ゲイを含めて)の知り合いは殆ど居ないのだそう。ゲーム時間の殆どを、ロボットと過ごしていたからである。





 さっちゃん
「そういえば、初めてこのゲームをやったとき、ダンジョンから飛び降りようとして、止められたことあったの。魔法のマントがないと駄目だからと、それでテレポートで下の街に降ろして貰ったのだけど、その人ちょっと変わってて自宅警備員(引きこもりの総称)を仕事にしてるって言ってた。 あと、『プレイヤーキラーが魔法のマントを奪い暗殺してくるから魔法のマント入手は諦めた方がいい』『人口削減政策を国がしてるかもしれないから、気付くことがあったら教えて』と言われ、友達登録しました。」



 清十郎は、さっちゃんから、アカウントを受け取った。アカウントにはハンドルネーム『藤井』が記載され
 職業欄は『西洋騎士レイピア使い』となっている

 レイピアとはフェンシングで使う様な細い剣であり、 レイピアによる剣術の基本は突きである






清十郎達は、さっちゃんから引きこもりプレイヤーのアカウント『藤井』を教えて貰った。早速ナビでアカウントを検索したが藤井の居場所は非公開設定にされていたのでストーカーできない。またメッセージも友達以外のプレイヤー(例えば、さっちゃん以外)からは受付けていない。


藤井は『西洋騎士レイピア使い』であり、レイピアとはフェンシングで使う様な細い剣であり、息子は高校時代にフェンシングをしていた。寺井(ゲームで出会ったメイド風女子高生のプレイヤーの話)によると、このゲームではリアルの能力がゲームにも反映される傾向にあるらしい。息子がゲームを有利に進める為に、フェンシング経験を活かした職業に『レイピア使い』を選ぶ可能性は高いと思われる。しかし居場所が分からず、メッセージも送れないのでは探せない。


藤井に友達登録されている『さっちゃん』に訪ねてみたが、メッセージは送信できるが、居場所は、さっちゃんにも非公開設定にされてた。


何らかのメッセージを送り、歩み寄るのがベターとして、どんな内容を送って良いのか分からない。清十郎は竹内と安井と一緒に考えていた。




向井
「藤井!? 西洋騎士の藤井選手!??」


向井が驚きながら、3人の話に割り込んできた。向井の話によると 西洋騎士の藤井は、このゲーム世界の超有名人であり、大会経験ある者なら誰でも知っているという。藤井は前回の世界大会の優勝者であり、賞金200億を勝ち取った伝説の日本人プレイヤーであるらしい。


その話を聞いた清十郎は、流石に藤井は自分の息子ではないなと感じた。息子が、もし賞金200億円とやらを持っているなら、もっと贅沢な暮らしをているハズだが、そんな雰囲気は一ミリも感じない。「藤井が息子であるわけがない」清十郎はそう判断し藤井を調査対象から外した。


とはいえ、息子がゲームにおいてレイピアを使っている可能性も賞金獲得目指して大会に出場する可能性も高いのであり、清十郎は大会参加(観戦するのみを含み)を目指してみようと思った。










清十郎は大会に出るべきか迷っていた。勝てるとは微塵も思ってないし、勝てないならワザワザやる意味もない。痛止めを使って痛みを回避できるとしても、痛いからこそスリルある戦いができるわけで、

清十郎は矛盾した葛藤をしていた。痛みなく戦いのスリルだけを感じる事はできないのか、もしそれができたら、学生時代に剣道にハマった以上にハマれるはずだと



竹内
「覚醒剤はドーパミンの生成を促し、それで快楽が得られる。
覚醒剤はドーパミン作動性に作用するため、中毒症状は統合失調症に類似する。強迫性障害、トゥレット障害、注意欠陥多動性障害(ADHD) においてもドーパミン機能の異常が示唆されている。
Wikipedia ドーパミン参照」



清十郎
「竹内さん何を呟いているんですか?

竹内
「学校主催の麻薬の危険性を考える会の幹事役に選ばれてしまい、麻薬に関するレポートを明日までに提出しないといけないんです」

清十郎
「ゲームしてて大丈夫なんですか?

竹内
「魔法のマントを使うと速読ができまして、ゲームの中で仕事やる方が早いんです。目も疲れませんし」

清十郎
「覚醒剤は未だに無くならないの、なんでなんですかね? 快楽ならゲームで妥協してればいいのに…」

竹内
「ゲームの中でも麻薬を密売してるくらいですから、余程気持ちいいものなんだと思います」

清十郎
「ゲームの中でも!?」

竹内
「私も詳しくは知らないのですが、このゲームのどこかに売人が潜んでて、快楽を欲しがってるどうしょうもない人を探しているのだとか」

清十郎
(快楽を欲しがる……)

竹内
「だから清十郎さんも気を付けて下さい」

清十郎
「清十郎は麻薬なんて買うお金有りません」

竹内
「それは素晴らしい。何よりも確実な防衛術ですよ。ですが、人生を投げやりなる高齢世代程、危ないんですよ。先が短いと、ついやってしまって、バレたらバレたでバッシングを受けてしまって」

清十郎
「攻められるのは、当然じゃないですか?」

竹内
「中毒性があって、怒りをコントロール出来なくなるんです。自分を不幸な人間だと思い込んでしまい、更生しにくくなります」

清十郎
「竹内さんは麻薬した人を攻めるべきではない、と?」

竹内
「そうですね、攻めていい人と、そうでない人が、いると思います。でもそれが正しいかどうか自信はないですね」

清十郎
「竹内さんは、魔法の研究してましたけど、魔法で麻薬みたいなものは作れないのですか?」


竹内
「魔法書に書いてあったのは、理論上作れるが、副作用なしが作れないそうです。快楽記憶を消去して、依存させないようにできたりはするけど、それは脳細胞を消してる訳じゃなくて、記憶を引き出せないようなストッパーをかけてる。やればやるぼとストッパーが脳内に増えていきストッパーだらけになった脳は思考力を失います」

清十郎
「要するに無理なんですね……」
麻薬の話を聞く限り、清十郎には一生縁がなさそうな話である。

清十郎
「じゃあ、竹内さん、、こういう魔法は作れますか? 」