引き篭りニートの親、VRゲームにハマる
途中からは現実に起きた出来事ではなく、ゲームのプログラムという設定にされた。
結果としては宇宙戦争で勝った清十郎達だが、それに関する細かい記憶は全て消去された。宇宙人に支配されていた政府による殺人隠蔽行為も終幕し、清十郎や清一からは、それに関する記憶は消去された。
清十郎と清一が共闘して政府と闘った等の記憶も消え、ゲーム内で出会った記憶すらも消去された。そして清一の引きこもる現状は何も変わっていない。清一は政府と戦う事に多くエネルギーを注いでいて、それに関する記憶がごっそり抜け落ちたが、パニックはしなかった。宇宙人のハイテク技術により、脳内は弄られ、許容可能な事象とされた。
政府に自宅を襲われて銃撃戦をした痕跡や、軽トラックで2階の窓を突き破った形跡も、宇宙人達の技術で修復され、何事も無かった事にされた。
清一は相変わらず引きこもりで、清十郎は息子を助ける為にゲームの中を徘徊する。竹内と伴に…
(第一章おわり)
◆
このゲームは高度な人口知能が搭載され、プレイヤー達が意識せずとも、プレイヤー同士をマッチングしている。
清十郎は魔具開発の過程でドラゴン退治に向かう途中に、魔法のマントを奪おうとするヤクザ組織に襲われた。その際、清一に助けれたが、今の清十郎は、それが清一だとは判らない。見知らぬプレイヤーが助けてくれたと思っている。
レアアイテム、魔法のマントを巡って強盗殺人が起きてる事を知った清十郎は、一度はこのゲームを辞めようかと思っていたが、魔法のマントで空を飛ぶ快感に抗えずログインしていた。
ログインすると顔面にウィンドウが表示された。
〜魔具開発ギルドとの契約中〜
と表示される。
ヤクザが自分から魔法マント奪う罠だったイベントだが、それはこのゲームの独特な仕組みに原因がある。
清十郎に声が届く。
「ドラゴン退治は魔法のマントが必須だけと、ちゃんと装備してるよね?」
清十郎の目の前にはプレイヤーが3人いた。
清十郎の記憶はヘルメットデバイス越しに丸ごと管理、操作されている。ゲームとしての矛盾性を忘れさせ、互いの目的に合いそうな他プレイヤーと自動的にマッチングさせられる。
偶然ではあるが、魔具開発をしている他のグループと、冒険をしたい清十郎の精神がマッチングし、ゲームが再開された。
その際、清十郎が息子を捜索している事等の情報もマッチングしたプレイヤーに自動的にインプットされている。つまりマッチングしたプレイヤー達は、清十郎がドラゴン討伐に協力してくれた場合の報酬として引きこもりを探す仕事に協力するという契約事も結んでいる。
その他細かいゲームへの違和感、矛盾点はプレイヤー達の記憶を操作され、あたかも無い事にされる。
清十郎は特に疑問に思わず、ドラゴン討伐に協力し、仲間の竹内も【ドラゴン退治に行った清十郎の帰りを待つ】というイベントに参加している。
「ドラゴン退治は魔法のマントが必須だけと、ちゃんと装備してるよね?」
「じゃあ、このアイテムたちを装備して」
清十郎は前回とは違うプレイヤーの光景に全く違和感を感じず、言われるがまま従っていた。
「このアイテムは魔法のマントの力を引き出してパワーアップさせる。他のアイテムは耐久性の高い武器防具だから、これでいくよ」
前回はこのような会話は無かったが、その事には気付かない清十郎は、ふと疑問に思う事があった。
『戦いに魔法は使わないのかな?』
「このゲームはモンスター相手に魔法つかっても非効率なんだよ。プレイヤーを支援する魔法は効果あるけど、」
ネットを調べると、確かにそのような説明が書いてある。このプレイヤーは嘘をついてない。
清十郎はプレイヤーを試してみた。このプレイヤーの人柄について調べたい。
『せんせー! じゃあ、何の為に攻撃魔法があるんですか?』
先生と呼ぶとプレイヤーは頬を染めて照れた。照れながらも、教えてくれた。
「対人戦で威力を発揮します。」
『たいじん? せんせー!それどう言う意味ですか?』
清十郎は初心者になりきっている。プレイヤーは、面倒がることも、嫌がることもなく、語り始めた。
「大会とかじゃ魔法のマントは使用禁止なんだ。マントを使わないでプレイヤー同士でバトルしたり、大勢で戦い合う様なバトルロイヤルでも魔法の真価が発揮されるんだ。」
既に清十郎も知っている内容を語ってくれる照れるプレイヤー、そこに被さるようにメンバーの一人が言った。
「お嬢様! あまり説明に時間を費やしては宿題をなさる時間が……」
(お嬢様? どこかの姫様的な設定なのか? もしかしてプレイヤーではなく、ゲームのプログラムが生み出した擬人かもしれない。確認する方法は……わからない。…。これ以上、考えていても仕方がないので先に進もう。) 『ありがとうございます。あとは自分で調べるので大丈夫です。では、皆さん行きましょう』
ドラゴンは第5銀河の辺境惑星に生息している。
メンバーに魔法使いがいて、清十郎含めて4人をテレポートさせ、その惑星に飛ばした。
ドラゴンが生息する土地は空が赤色でマグマや火山活動が活発だ。
メンバーは手分けしてドラゴンを探した。
マントで空を飛びながら探す。
道中、プレイヤー同士のオンライン通信で軽い自己紹介が行われた。
「わたしは、ナギ、戦士なので前線はまかせてな」
メンバーのリーダーはナギという名前だ。先程、照れながらも質問に丁寧に答えてくれた。ナギは園児の頃からネトゲVRはまり、今やってるゲームも、どはまりしている。好きな食べ物は饅頭で、嫌いなものはロリコンオタク
ナギは屈強な男キャラを選択している。男性からのナンパがウザイから男に扮して偽装しているらしい
職業は戦士、使える武器の種類が多いのが特徴
「寺井といいます。ナギお嬢様のお供をさせて頂いています」
寺井というプレイヤーはナギの保護者兼召使いらしい。ナギはメイドが雇えるような、どこかの裕福な家庭育ちなのだろう。
キャラデザインは現代風の女子高生で
職業は魔法剣士
「……池内といいます」
見た目がスルメイカデザイン。一度見たら忘れられない。池内プレイヤーは今は外国にいて、ナギや寺井とは腐れ縁があるそう。年齢不詳で職業は魔法使い
ナギ、寺井、池内の自己紹介がおわり
一方その頃、竹内はどうしていたかというと
ゴーストと一緒にいた。
竹内もゴーストもドラゴンが怖いので図書館で清十郎の帰りを待っていたのだが、竹内が実験で唱えた魔法の影響で、一時的にゴーストが見えるようになっていた。ゴーストは清十郎との約束で、「戦いを有利にする為、人に存在がバレてはいけないから、無闇に他人を さわってはいけない」と言われていたので、竹内から逃げ回っていた。
竹内は、触っていけない理由をゴーストからのテレパシーから読み取り、「触ってはいけなくても、触られるのはいいのでは?」と説得して、ゴーストを触りまくっていた。
作品名:引き篭りニートの親、VRゲームにハマる 作家名:西中