小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

北へふたり旅 61話~65話

INDEX|6ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 


 「心配はない。在来線を廃止するんだ。
 貨物のコンテナを、専用新幹線に積み替える。
 このアイデアが魅力なのは、札幌まで新幹線が伸びた時。
 7時間30分かかっているいまの輸送時間が、新幹線を使えば
 2時間30分に短縮される。
 旅客がすくなく、不効率な新幹線が貨物で威力を発揮する。
 そんな構想が、この地下トンネルの中で密かにすすんでいるらしい」

 「赤字なのですか、北海道新幹線は?」

 「飛行機を使うのが一般的だからね。北海道旅行は」

 「ごめんなさい。飛行機に乗れない女で」

 思わず苦笑した時。窓の外が一瞬明るくなった。
明るく見えたのは貨物列車の運転席。一瞬で見えなくなった。
しかし窓の外は、何かとすれ違っている気配がある。
振動もないし揺れもない。
それほど最新の新幹線は気密性に優れている。

 「飛行機に乗っているようなものさ。
 航空機のパイロットは、200~240kmで操縦かんを引き起こす。
 300km前後で離陸する。
 はやぶさは320㎞で走ってる。
 速度的には充分だ。翼をつければ津軽海峡のうえを飛ぶことができる」

 「10両編成の新幹線が空を飛ぶのですか・・・
 なんとも壮観ですねぇ」

 「次世代型の新幹線・アルファエックスの最高速度は400キロ。
 海底なんか走っている場合じゃない。
 こいつは間違いなく空を飛べる。翼をつけたらの話だけどね」

 「そうなったら北海道まで、あっという間です。
 うふっ。面白そう。
 あ、いけない。空を飛ぶものには乗れません、わたし。
 やはり地上を走るものにしてください。後生ですから。うっふっふ」

 (64)へつづく