北へふたり旅 56話~60話
北へふたり旅(60) 行くぜ北海道④
宇都宮~盛岡間は最もスピードが出る。
はやぶさとこまちはこの区間を、日本最速の320kmで走りぬける。
やまびこは275kmが最高速度。
そのやまびこ号が速度を落とはじめた。
車窓に杜の都、仙台の街並みが見えてきた。
「仙台と言えば七夕で有名な街。
君の考える、仙台の有名なものはなんだ?」
「1位は牛タン。2位は、ずんだ餅。3位は笹かまぼこ。
知っている名物はこれくらい。
それからさとう宗幸が唄った青葉城恋歌は、わたしの愛唱歌。
ちょっと変わった福の神、仙台四郎。これくらいかしら」
仙台四朗は商売繁盛の神様。仙台で知らない人はいない。
当時の写真がのこっている。
坊主頭にふくよかな体型。
腕を組み、ドテラに縞の半天を羽織っている。
くったくのない笑顔を、まっすぐこちらへ向けている。
「1位から3位までが食べ物か・・・君らしい。
青葉城恋歌が流行ったのは、ぼくらの青春時代だ。
それにしても驚いた。
よく知っていたねぇ、仙台四郎なんて人物を」
作品名:北へふたり旅 56話~60話 作家名:落合順平