ジェノサイド・ワールド
サキュバスである自分は男性からの精を得なければ干からびて死んでしまう。男性は喜ぶし自分は潤うしでお互いwin-winであるというのに、なぜこうも性に対してお国は規制したがるのか。お前らだってサキュバスと散々ヤッてきただろ。私は知っているぞクソ役人共。
そんなこと言ってもことは当然収まることもなく、王子を狙った罪で即死刑のところを、王子の弁明で終身刑へと刑を変更され、私はサキュバスとして生きる上でこの上ない地獄を味わいながら死ぬ予定であった。……時々看守を誘って事に及んではいたが、毎回同じ相手ばかりでそれはそれでつまらない日々であった。婚約しているならともかく、私はまだ人間でいうところの19だぞ。加えて相手はおっさんばかり。もっとイケメンならまだし……それこそカイドー大臣やエリオルト国王陛下ならまだしも。
そんな中、悶々と満たされず、かといってどうにもならない状況を憂いて2カ月。急遽独房から出され、今まで食べたことないような超豪華な食事を振る舞われた。
……あ、もちろん性的じゃないよ。普通のご飯ね。
こんなワイン飲んだことない、とほろ酔いながらピザやらドリアやらで栄養をやたらと摂取し、どこか頭の中で「急遽死刑に変わったのだろうか」と冷静に考えていた。そりゃそうだ。サキュバスを幽閉だなんて。税金の無駄だ。
作品名:ジェノサイド・ワールド 作家名:綺斎学