ジェノサイド・ワールド
さすがカイドー大臣だ!! そんな言葉が謁見の間中に広がり、誰もが隣の人物と喜びを共有していた。
「し、して、大臣! カイドー大臣!! その作戦、君のとびっきりな策を具体的内容を聞かせてくれないか!!」
グレゴリーが低い声で、しかし嬉しそうにカイドーに言う。しかし対照的に、カイドーの表情は、またもや額に汗を浮かべて、とても嬉しそうとは言い難い表情だった。
これは、賭けだ。作戦とは呼べない。彼の今までの人生からだと、とてもじゃないが弾き出されることのなかったギャンブル。苦悶とも、あるいは挑戦的ともどちらともとれる顔をしながら、カイドーは静かに口を開いた。
「作戦内容は、ハニートラップ」
…………………。
……………………………?
えっ。
あのカイドー大臣から飛んできたワードに全員の時が止まった。堅物中の堅物のカイドー大臣がなんと?
ハニートラップ??
カイドーはそれを無視して続けた。
「淫魔による、性的な籠絡作戦です」
かくして、世界共通の敵と60億の人類との戦いが始まったのである。
作品名:ジェノサイド・ワールド 作家名:綺斎学