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ジェノサイド・ワールド

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「だが軽3級だろう? 貫けばよいではないか。子供でも張れる魔術だ。ならば奴ごと射抜いてしまっても……」
 
「アルメリア大国の’超隕石’が効かなかった相手にですか、グレゴリー元帥」

そう割り込むのは面倒くさそうな顔をして、テーブルの端を眺めている若い男性。金髪、灰色の瞳。面長の顔。だるそうに声を出す彼が唯一この場で規律を正しておらず、異色なのは誰が見てもわかる。
 
「……ナーシア錬金術師長。私は奴にではなく、カヤックに放てばよいのではないかと言ったのだ。そんな狙撃程度で殺せるとは、当然思っておらん」

「ならカヤックに狙撃をしても無駄だということは分かるハズです。エナジーバリアはカヤック丸ごと覆っている。’超隕石’を直撃しても奴が生きているのは、奴の放った防御呪文が我らの練度とは遥かに規格が異なるから。それが仮に特A級の防御呪文だったとしても、隕石呪文を到底防げるわけがない。つまり、奴にとっての軽3級は我らにとって軽3級ではない、おわかりですか元帥」

グレゴリーが顔を真っ赤に染め怒って反論をしようとしたところ、差し込むようにナーシアと呼ばれた男性は続ける。

「奴の軽3級のバリアを砕くのにこちらが何百という魔力リソースを割いて放つ呪文はせいぜいカヤック一匹を死に至らしめるだけ。それで済めばいいが、お釣りとして返ってくるのは奴の敵意と、国を滅ぼすほどの炎の嵐です。 それを何発も、何発もブチ込んできます。こちらの人員が、ミヒカンの魔術師が何人死のうと決して止めない、トチ狂った無尽蔵の魔力での暴力。限りなく惜しい命の何十という数を、たかだかカヤック一匹のため差し出せというのか貴方は!!」
作品名:ジェノサイド・ワールド 作家名:綺斎学