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ジェノサイド・ワールド

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Barにようやく着き、腰かけると店主とおぼしき人物が声をかけてくる。

「なんにする」

「……あー、ミルクある? あと外にいるカヤック用に、水1リットル」

「…………」

なんだよ牛乳かよ。とあからさまな表情を浮かべたが、店主は何も言わずコップに入ったミルクと水の入った革の給水袋をくれた。

「ありがと」

「…………」
何も言わずコップを磨き始める。愛想のない店主だこと。

メルに水をたっぷり上げた後、周りを横目でみながらミルクを飲む。男たちは一喜一憂しながらトランプを配ったり、隅っこでは魔法陣を浮かび上がらせ何やら怪しい商談をしている者もいた。

情報収集せねば。正直このままメルと逃げたい気持ちがあったが、足にブレスレットが付けられ、それがどうも居場所を知らせる魔術品らしく、どこまで逃げても最終的には見つかるという仕様らしい。忌々しい気持ちが湧きあがったが、そんな気持ちも活力がないのですぐに萎えて消える。

(シロガネを見つけるよりも先に、精のある男を見つけなければ、私が干からびて死ぬ……)

作品名:ジェノサイド・ワールド 作家名:綺斎学