EMIRI 4 三つ股してる?大親友のストーカー
二人は外階段を上り、208号室に向かった。その途中でも北木は、きょろきょろと何かないか探しているようだ。
「何かありますか?」
「分からへん」
奈美の部屋のドアに着いた。
「あんた、ピンポン押して」
「はい」
南は人差し指でインターホンのスイッチを押した。
ピンポーーン
「あぁ、ああ。指で押したら、あんたの指紋が付くやんか」
『はい?』
「あ、こんにちわ、井上さん。城西警察生活安全係の北木と申します。南刑事も一緒です」
ガチャガチャと鍵が開いた。少し開いたドアの隙間から、奈美が片目で外の様子をうかがってから、ドアチェーンを外した。
「急に何ですか?」
「すみません。何の連絡もせず、来てしまって」
南は咄嗟にそう謝った。
「調書を読んで気になったんで、現場確認のため来ました。お手間は取らせません。2~3確認させてください」
北木はニッコリ笑いながら、落ち着いた標準語で話した。
「台所を見せてもらうこと出来ますか?」
「え? 今ですか?」
奈美は南を見た。
「あ、南は部屋には入りません。私だけで結構です」
「それなら・・・」
北木は奈美に招き入れられると、振り返り、
「あんたは外で待ってて、何も触らんといてや」
と言ってドアを閉めた。南は2歩後ずさりした後、もう一度近付いて、ドアに耳を当ててみた。
ゴン!
内側からドアを叩く音がした。
「見えてんで!」
北木がのぞき穴から見ていたようだった。
作品名:EMIRI 4 三つ股してる?大親友のストーカー 作家名:亨利(ヘンリー)