EMIRI 4 三つ股してる?大親友のストーカー
暫く話した後、南が部屋を去ろうとドアを開けると、また例の男性住人が廊下を歩いている姿を見付けた。その時、相手が一瞬戸惑った様子を感じ取り、不審に思い、
「井上さん、今の人、誰か判る?」
奈美がドアから顔を出すと、その男性は外階段へ出てしまっていて確認できなかったが、
「窓から確認して」
奈美は急いでリビングのサッシから、カーテンを閉めたまま外を見た。するとその男が歩いているのが見えた。その瞬間、奈美は反射的にカーテンの隙間を狭くした。なぜなら、その男が奈美の部屋を見上げたからだった。
奈美が玄関に戻ると、
「判りました。今の人205号室の・・・たしか小田さんと言う人です」
「ああ、3軒隣ですか」
「でも、今私の部屋を見上げて来たんで慌ててしまったけど、見られたかな?」
「この部屋を見たんですか?」
「はい、なんか気味悪い。あの人の部屋なら、こっちの階段じゃなく、真ん中の階段を使う方が便利だと思うのに」
それもそのはず、このアパートの2階には201~208号まで合計8部屋あるが、中央階段で左右に4部屋ずつ分かれている。205号室は中央階段のすぐ隣なのだ。
「それに、こっちの外階段から下りたのに、また中央に向かって歩いて行ったから、そんな遠回りする意味なんか無いのに。・・・こわい」
「・・・ストーカー候補3人目ってことか・・・可愛いと大変だね」
作品名:EMIRI 4 三つ股してる?大親友のストーカー 作家名:亨利(ヘンリー)