EMIRI 4 三つ股してる?大親友のストーカー
[電話代われる?]
「ムリー。だと・思・い・ます」
[アパートが水漏れで大変だとか言って、帰えしてもらえへんやろか!?]
「はい。そうします」
奈美はスマホを耳から離して、
「あのう。お察しと思うんですが、アパートでトラブルが起こっちゃって、帰らないといけなくなったんですが・・・」
「えー? なんだよそれ。どんなトラブル?」
大原は、鬱陶しそうに聞いた。
「水漏れです! いっぱいいっぱい。辺り一面、水浸しです」
「何とかなんないの?」
大原の運転まで、荒っぽくなって来た。
「私の責任で、すぐに帰らないと」
「仕方ねえな。本当は別でも約束してたんじゃないの?」
「違いますよ」(でも、このまま車で送ってもらったら、ウソがばれちゃう)
[・・・もしもし!・・・井上さん!]
「あ、もしもし」
[聞こえてたわ。送ってもらったらマズイやんね。そこからアパートまで、どんくらいかかりそう?]
「あーー。20分かからないくらいだと思います」
[ほな、私らの方が早く着ける。なるべくゆっくり帰って来て]
「はい。分かりました。よろしくお願いします」
作品名:EMIRI 4 三つ股してる?大親友のストーカー 作家名:亨利(ヘンリー)