北へふたり旅 51話~55話
北へふたり旅(55) 北へ行こう⑪
終点の小山駅で降り、東北本線に乗れば宇都宮へ行ける。
と単純に考えていた。
東北本線か宇都宮線が走っていると思い込んでいた。
しかし何やら様子が変だ。
目の前を走っていくのぼり列車には、湘南方面と書いてある。
ここは関東平野の北端。
東北本線か宇都宮線が走っているとばかり思い込んでいた。
しかし目の前を走っているのは、湘南へ行く電車と、
熱海から来た電車ばかり。
あれ?。なんだ?。いったいどういうことだ・・・
のぼり列車の終点が上野駅。
くだり始発が東京という、途中が途切れた不便な時代が長かった。
この不便を解消するため、2015年3月。
上野~東京間に山手線と並行するあたらしい線路が建設された。
念願だった上野駅と東京駅が直結した。
これが上野東京ライン。
直結したことで乗り換えなしで、都心を通過できるようになった。
北からの電車が都心を越え、小田原や熱海までいく。
熱海からの電車が、関東の北端、宇都宮まで北上してくる。
一部の電車は最北端の黒磯まで行く。
こうした結果。熱海から関東平野の北端、黒磯まで5時間かけて
走り抜ける普通列車まで誕生させた。
銀色の車体にオレンジと緑のラインが特徴的な電車が入って来た。
小田原からきた上野東京ライン、15両編成の普通電車だ。
しかし。4両目と5両目の車体の様子が違う。
よく見ると2階建てになっている。
2階部分の窓ガラスが、屋根に合わせた曲面ガラスになっている。
通過した瞬間、車両にグリーン車のマークがついていた。
作品名:北へふたり旅 51話~55話 作家名:落合順平