北へふたり旅 51話~55話
北へふたり旅(53) 北へ行こう⑨
翌朝6時45分。
JR両毛線の岩宿駅へ着く。
6時52分の下り、小山行きに乗るためだ。
駅の窓口は完全に閉まっていた。
カーテンが厚く引かれている。だいぶ前から閉鎖されているようだ。
となると券売機で切符を買うしかない。
(宇都宮までの運賃はいくらだ・・・)
券売機の上の路線図と、運賃をながめていたら女子高校生がひとり。
うしろから駆けて来た。
速度をゆるめずそのまま改札へ突入していく。
(えっ・・・どういうことだ?)
女子高生がポケットからスマホを取り出す。
ピッと、入場と書いてある画面へかざす。
そのまま下りのホームへ消えていく。じつに完璧なタッチ&ゴーだ。
ゲートのついている自動改札機なら、首都圏で使ったことがある。
磁気式切符を入れるとゲートが開く。
ゲートを通過してから、その先で切符を取り戻す、あれだ。
しかし目の前にある改札機はすこし様子が違う。
改札中央に立っているポールの上に、ちいさな機械がついている。
どこへでも持ち運びが出来そうなほど簡易なものだ。
入場用と書いてある。
ということは出場用の自動改札は反対側にある、ということになる。
タッチする部分が、ここへ触れろと青く光っている。
疑問が浮かんできた。
通過していくのはスマホか、パスケースに入れたスイカか、
定期券の客ばかり。
券売機で買った切符をこの機械は受けつけてくれるだろうか?。
「俺たちはどうやら浦島太郎になったようだ。
さっぱりわけがわからん。何がいったいどうなってんだ?」
作品名:北へふたり旅 51話~55話 作家名:落合順平