北へふたり旅 51話~55話
「両毛線で小山へ出てから、東北本線に乗り換えて宇都宮。
宇都宮から東北新幹線のやまびこに乗って仙台。
仙台から北海道新幹線のはやぶさに乗り換えて、新函館北斗。
列車を4本乗り換えて、やっと北海道へ到着です。
あ、5本目がありました!。
新函館北斗から函館まで、なんとかライナーに乗ると言っていましたねぇ。
JTBのお姉さんが。
ちゃんと目的地へ着けるかしら。だいじょうぶかしら、わたしたち」
「しかたないさ。
関東平野の最北端はどこへいくにも、不便な場所だ」
「はじめての列車旅にしては、たいへんハードな乗換えです。
無事に行けるのかしら、本当に」
「だからこその予行演習だろ。
あ・・・あったぞ。
岩宿駅が7:36で、小山到着が8:42。
小山から宇都宮まで、30分みれば着くだろう」
「忙しいのは嫌。
ぎりぎりの接続で、ホームを走るなんて最悪です。
もうすこしはやい列車は無いの?」
「6:52というのがある。これだと小山の到着は8:12だ。
いくらなんでも早すぎるだろう。
宇都宮の駅で一時間ちかく、まつことになる」
「たかが一時間でしょ。
ホームを走るよりはるかにマシです。
それに時間があれば駅で優雅に、コーヒーを呑めます」
「コーヒーを飲めるような場所が、駅の中にあるの?」
「それを確認するために行くんでしょ。明日」
「あ・・・明日!」
「あら。なに驚いているの、当然でしょ。
膳は急げです。
明日からながい夏休みがはじまるんですもの。うふっ」
(53)へつづく
作品名:北へふたり旅 51話~55話 作家名:落合順平