小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

205号室にいる 探偵奇談23

INDEX|29ページ/33ページ|

次のページ前のページ
 


「伊吹先輩、今日はずっと心ここにあらずですね」

部活を終え、更衣室で着替えているところを、伊吹は瑞に声を掛けられた。夏に向けて部活も本格的に忙しくなっている。そんな中、同級生の妙な噂話が学校中に広まっており、伊吹自身も集中を欠いているのがわかる。

「ごめん…退学した鎌田潤、一年のとき同じクラスだったから」
「あ、そうなんだ」

仲間と一緒に不適切な動画を動画投稿サイトにアップして、退学処分になったというから驚いた。

「たしかに、悪乗りが過ぎるやつだったけど…」

だからといって、胸が痛まないわけではない。彼らの突然の退学に、表向きは動画投稿が問題視されたとあるが、そこには「行方不明」だの「失踪」だのという噂がつきまとい、それが呪いのせいなどと言われているのだ。彼らがどうなったのか…誰もわからない。行方不明者を探すサイトに、彼らの情報が載せられているなんていう噂もある。

「悪乗りってどんな?」

瑞が胴着を脱ぎながら尋ねてくる。

「うん。まあ動画サイトにいろんな動画あげてて…それが、いじめの場面だったり店の店員さんを困らせるものだったりらしくて」

悪ふざけがすぎる、といった風だったようだ。伊吹自身は実際に動画を見たことがないのだけれど、聞くだけで「それはいかがなものか」と眉根を寄せてしまうような内容だ。

「今回は、不法侵入した廃墟での動画を上げてたんだってさ」

へえ、馬鹿者だね、と瑞は興味なさそうに答える。妙に冷めた目をしている。


「――当然の報いだ…」
「え?」


瑞が恐ろしく冷たい声で何か言ったのだが、伊吹はうまく聞き取れなかった。

「何か言った?」

聞き返した伊吹に向き直り、瑞はいつものようににっこりと優しく笑った。