北へふたり旅 46話~50話
北へふたり旅(47) 北へ行こう③
昼12時。
今日の作業が終わる。
ベトナムの3人は、午後5時まで働く。
しかし、シルバー世代は12時で解放される。
働き過ぎると税金が高くなるからだ。
いちど家に帰り、着替える。
車へもどり、太田市の東にあるショッピングモールへいそぐ。
片道およそ30分。いつものことだが、ちょっとしたドライブになる。
郊外からのバイパスがそのまま市街地へ突入していく。
市街地のど真ん中に、スバルの(富士重工)の工場がたっている。
スバルの矢島工場だ。
太田市はスバルの企業城下町。
かつてここに中島飛行機の巨大工場群があった。
中島飛行機は大戦時、東洋最大、世界有数といわれた航空機メーカー。
2万4000機の機体と、4万4000台の発動機を生産した。
鉄道の引き込み線があり、専用の飛行場も持っていた。
「太田製作所」と「小泉製作所」の中間につくられた飛行場は
幅70メートル。全長1300メートル。
飛行機を運ぶための専用道路もつくられた。
専用道路は幅が30m以上あった。
完成した機体が主翼を広げたまま進むことが出来たという。
敗戦後。中島飛行機は15の会社に分割された。
矢島工場を迂回した道路が、南端の交差点から東へむかう。
300メートルほど先で、矢島工場の正門が見えてくる。
正門のとなり。スバルの歴史が観られるビジターセンターが建っている。
その前庭に、ジェット機が展示されている。
ジェット練習機、T-1だ。
作品名:北へふたり旅 46話~50話 作家名:落合順平