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北へふたり旅 46話~50話

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 「なんでそろってます、ここは。あら・・・」

 妻の足がとまった。

 「こんなところにJTBがありますねぇ」

 旅のカタログがならんでいる。
奥の壁に、JTBのログが見える。中をのぞいてみた。
ちいさなカウンターに、相談ボックスが2つ。
女の子がひとり。パソコンへ情報を打ち込んでいる。
客の姿は見えない。

 「あのぅ・・・」妻がカウンターへ声をかけた。

 「いらっしゃいませ」女の子が正面をむく。

 「商品券が欲しいのですが」

 「JTBのナイスギフトですね。
 1000円と、5000円の2種類がございます」

 「1000円券を5枚。プレゼントに使いたいの。
 1枚ずつ、包装してくださいな」

 「はい。すぐご用意いたします」

 女の子がたちあがる。流れるような対応だ。
これはほかのJTBでは絶対にありえない。
ギフト券の購入だけでも、順番待ち受付システムの洗礼が待っている。

 画面に待ち時間が表示されている。
しかし。たいていの場合、この表示の内容が悩ましい。
「現在、5組待ち」「ただいま90分待ち」

 (どうする?)画面を見ただけで気持ちが折れる。
ギフト券はゴルフコンペに呼ばれるたび、協賛品として購入している。
居酒屋時代からつづく習慣だ。

 「おまたせしました」

 ラッピングされたギフト券が5枚、数分のうちに出てきた。
待ち時間ゼロの快挙!。
ギフト券を買うだけで2時間待たされてきたことが、嘘のようだ。

 「いつも空いているの、此処?」

 妻が、失礼な言葉を口にする。

 「ご覧のとおりです」

 ギフト券を用意してくれた女の子がニコッとほほ笑む。

 「またのご利用をお待ちしております」

 女の子の笑顔におくられてJTBをあとにする。
この日から妻はこのスーパーマーケット内にあるJTBの、ファンになった。


(47)へつづく