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された記憶がない

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「うん。お利口さんだね♪」

 背が高いのを誇るかの様に、曜子は何かと言うと俺の頭を撫でる。

「これで3回連続で、遅刻せずに来れたじゃない」

 不機嫌になられた方が始末に悪いので、下手な抵抗はしない。

 特に人目がない場所でなら、したい様にさせるに限る。

「じゃあ、行こうか♡」

 曜子が機嫌良く、俺の肩の後ろあたりの服布に手を伸ばす。

 本来は、腕を組みたいらしい。

 だが、俺の方が曜子より背が低いので、腕が上手く絡められないのだ。

 その代償行為なのか、ふたりで並んで歩く時には必ず、俺の左の肩から二の腕あたり裏の布を 指で摘んで持つ様になった。

「─ この前の告白の返事は、お茶の時間を おーたーのーしーみーにー」

 楽しみにしろとは言う事は、良い返事だと予告していると同じではないか。

 と言うか、今から嬉々としてデートをする相手に、悪い返事をする筈が──

作品名:された記憶がない 作家名:紀之介