北へふたり旅 36話~40話
北へふたり旅(38) 第四話 農薬④
「日本国民の食生活の主役、コメを守るために税金を投入する。
理にかなった法律です。
種子法。いい法律じゃないですか」
「そう思うだろうマスターも。
いい法律なんだ種子法は。ところがよ。
戦後からつづいたいい法律が、わずか半年の議論で廃止になった。
どうなってんだいったい。ちかごろの日本は」
「たった半年の議論で廃止?。
誰ですか。そんな暴挙に出たのは」
「2016年10月、規制改革推進会議農業ワーキング・グループと、
未来投資会議の合同会合がひらかれた。
そこでで初めて、種子法の廃止が提起された。
理由は現状の種子法は民間の品種開発意欲を阻害している、というものだ」
種子法が廃止されると、将来の農作物どうなるのか。
参考にしたいのは野菜の種子。
種子法はコメ、麦、大豆などの主要農作物を保護している。
しかし残念ながら、野菜の規定はない。
野菜の種子生産は、民間の企業が主体。
ほとんどが世界に圧倒的なシェアをもつ、海外の多国籍企業が生産している。
ひとにぎりの企業が、野菜の種子を独占していることになる。
海外産の種子でつくられた野菜が、スーパーに並んでいる。
かつて野菜の種子はすべてが国産だった。
たしかにそんな時代があった。
しかし。いまは9割以上が海外産の種子になっている。
作品名:北へふたり旅 36話~40話 作家名:落合順平