北へふたり旅 36話~40話
北へふたり旅(37) 第四話 農薬③
「いつも酔っぱらっていると思ったら大間違いだぞ。
おれだってたまには勉強する」
「知ってます。Sさんが努力家だということは」
「そのうち日本から、国産の良質米が消えるかもしれねぇな。
そんな時代がたぶん、やって来るだろう」
「こんどはコメの話ですか?」
話題がころころ変わる。今夜のSさんは饒舌だ。
酒のすすみととともに、饒舌が加速していく。
こうなると誰にも止めることはできない。
「あまり知られてない話がある。
つい最近のことだ。2018年4月、種子法が廃止された。
廃止されたことで外国産の種子がはいってくる。
そのうち国民は、遺伝子組み換えの米を食べざるをえなくなる」
「そのうち遺伝子組み換えのコメを食べるようになる?。
そんな事態がホントにやってくるのですか!。
そもそも種子法というのは、どんな法律ですか?。
なぜ廃止されることになったのですか」
「お・・・喰いついてきたな。いい傾向だ。
あわてるな。今夜はぞんぶんに語る。
呑め。そういうマスターも、いける口だろう」
作品名:北へふたり旅 36話~40話 作家名:落合順平