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この世には大きく分けて三種類の人間がいる。使うものか使われるものか、そしてそれを逸脱した者か。天才と呼ばれる人間は逸脱したものに含まれており、同時に人間の出来損ないもまた、ここに含まれている。人間の出来損ないも一歩間違えたら天才なのだ。何が天才と出来損ないを決めるか、それは至極単純であり、それは努力の一言としか言いようがない。私が出来損ないであるのは、きっと才能はそれなりにあったのだろうが、努力する才能に欠けていたのであったと思う。だがしかし私はこう言いたい。天才と呼ばれる人たちは「そのもの」の才能があったわけではない、むしろ一般常識的な言葉を借りるとするならば、普通、平均的な才能であったのが天才の幼少期の大半を占めるであろう。もちろん天才の中でも幼少期から類いまれなる才能があった者もいるであろうが、共通して言えるのが「努力の天才」であると思う。思うというか、まぎれもない事実だ。
何が言いたいのかと言うと、ここには使う人間と使われる人間しかいない町だということであり、私は私もそのうちの一人か一人ではないかを試しに町を出たのだった。ここに夢破れて帰ってくるということは、私のなりたくなかったそのうちの一人だということを決定づけてしまう。しかし、この10年で唯一学んだことは、私も結局才能足りず一人目立つスイミーにはなれなかったということであり、なれるのはせいぜいスイミーを引き立たせる魚群のうちの一匹なのだということだった。
作品名: 作家名:茂野柿