端数報告
なーんつーのはどうやろねん。そこに八兵衛が合流するが、成智その他の者達にこの一件が知られてしまう。なんだかあいつら、わけのわからんアサッテの方を捜してやがるぞ。やらせとけやらせとけ。GHQの実験なのに絶対間違いあるわけないんだ……。
なんて感じでやるんだったらやってみたいと思ってますが、つまりソ連と中国のスパイも話に絡めることになるのか。ええと、どうしようかな……。
小説アメリア・イヤハート事件 [電子書籍版]
https://books.rakuten.co.jp/rk/aeaee9bd12f839709ff2e1e22f1f9e71/?l-id=search-c-item-text-13
とりあえず、こちらのなんかもよろしければ。で、帝銀事件ですけど、今日はまたまた〈五聖閣の占い〉の話。なんだけれども、『遠藤誠なんて野郎は、34歳で死んでた方が人類のためによかったと知れ!』の回で、オーケンの『のほほん人間革命』をスキャンしたのを見せましたね。そのいちばんアタマのところで、遠藤が、
*
遠藤「僕は人間の生死についてね、こう思ってるんですよ。別冊宝島(別冊宝島一六九号『裁判ゲーム』に収録の記事、「怪物弁護士・遠藤誠は二度死ぬ」松永憲生・著)にも書かれたことがあるんですが、遠藤誠はもう二度死んでんだと。
アフェリエイト:のほほん人間革命
なんて話しているのは記憶におありでしょうか。よろしければ、ちょっと戻ってご確認ください。
その『裁判ゲーム』って本をおれは文庫で持っていまして(1999年に文庫化)、見るとなるほど「怪物弁護士・遠藤誠は二度死ぬ」という章があり、遠藤がどれほど素晴らしい弁護士かということが24ページに渡って書き綴られている。
が、帝銀事件に関してはただ四行、
画像:裁判ゲーム250-251ページ
アフェリエイト:裁判ゲーム(本)
言及はこれのみである。なのにスキャンしてお見せしたけど、これだけでもちょっとなかなかすごい文でしょ。事件の説明と言うよりも、18人が登れなかった高い山の登頂に挑む男を讃えてるみたいだ。
これを書いた人間の遠藤誠への心酔ぶりが窺えるというものでしょう。松永ナニガシが遠藤を見る眼は、まるで上祐史浩や土谷正美が松本智津夫を見る眼だ。チャールズ・マンソンの信者がマンソンを見る眼だ。この24ページを全部読んだ人間は、遠藤誠の便器に入って遠藤が尻から出すものを全身に浴びたいと願うようになるか、こんな人間の皮を被ったウンコは便器に押し込んで水で流してしまうのが世の中のためだと思うようになるかのどちらかしかない。
オーケンはむろん前者だろう。おれはもちろん後者なんだが、とにかくこの文。
*
極秘捜査手記「甲斐文書」という爆弾証拠を突きつけて第十九次死後再審請求が
*
審理中という、それはどういうものなのか。
それを考えてみようというのが今回のテーマです。けど、例によっておれは知らない。相変わらずインターネットは一切見ないでこれ書いてるし、図書館がずっと閉まってるから本を借りられないんですよ。読みたい本や引用したい本はたくさんあるってのに。
だからあるもんでやるしかないが、〈第十九次再審請求〉と言えば、オーケンの『人間革命』にも出てきましたね。
*
遠藤「(略)今、第十九次再審請求をやっているんですが、来年中頃までで全部証拠を提出し尽くしますから、その頃から、裁判所は何らかの行動に出るはずです。もしかすると再審開始決定を出すんじゃないかなと思っているんですが、もしそれが出たら、また、大騒ぎだわね」
*
ってのが。それが甲斐文書? 聞いた松永ナニガシが、
「爆弾証拠じゃないですか!」
と叫ぶシロモノなのか。遠藤誠が水戸黄門の印籠みたいにそれを裁判所に突きつけていた?
しかし通らなかったのは、歴史が明らかにするところである。野中英次の『課長バカ一代』が連載されてた1990年代半ばの話なのだ、その十九次請求は。通らなかった請求だけど、遠藤誠は「もしかすると」と言っていた。もし出たなら大騒ぎだと言っていた。
たぶん今でもGHQ:画伯平沢をすキュー会のサイトを見れば、その貝殻がどういうもんかトクと知ることができるんだろうが、おれはそんなもの読む気はないので、代わりにおれの本棚にある『刑事一代』を開いてみよう。すると〈甲斐〉の名がすぐに見つかる。以前、『一等船室で乗り合わせた男』の回に、
*
ずいぶん一生懸命やったが、地取りからはどうしてもいいネタが出てこねえんだ。(略)これはブツ(物)をあたるしかねえって思ったよ。(略)
すると、いまの課長代理にあたる甲斐さん(文助、当時捜査一課係長)が、いきなり「命じられた地取りをダメだっていうのは、やる気がねえ証拠だ。こいつみてえなのは、ほったらかしておけっ」。こういうんだ。(略)
*
アフェリエイト:刑事一代
という文を引用したが、〈甲斐〉というのはこの甲斐文助に違いあるまい。
当時の捜査一課係長。それが手記を書き、極秘のものとされていた、と。ふうん。どんなものなのやら。
しかし『刑事一代』には、もうひとつ、これはページをスキャンしたのをお見せするが、
画像:刑事一代152-153ページ
こんなことが書かれている。ここで〈係長〉とあるのがやはり甲斐文助だろう。
『刑事一代』はもともとが1975年にサンケイ新聞(今の産経新聞)に連載された。で、すぐ本になり出版された。それに八兵衛の談話としてこんなものが載っちゃってるのだ。甲斐文助が平沢を無実と考えていたことは、とっくの昔に何万人にも知られていることになる。
だったら、その怪文書に何が書かれていようとも爆弾証拠にならんのじゃないかな。それがほんとに秘密のものかどうかすらも怪しいものだ。遠藤誠が極秘と言えばオーケンは何も疑わず極秘と思い、松永なんとかいうやつもまた極秘と思う。しかし、正しい日本語ではそれを〈公然の秘密〉と言い、〈周知の事実〉と同義である。
そうだろう。その甲斐ちゃんが貝のように口をつぐんでいるどころか、誰彼かまわず言い散らかして手記まで書いて公(おおやけ)に出してた。〈極秘〉と銘打ってはいても、公然の秘密レポートじゃないの? で、ひょっとしてその内容こそが《五聖閣の占い》じゃねえのか。
どうもなんだかそんな匂いがプンプンと立ちのぼってくる気がするけど、どんなもんだろね。成智に続いて甲斐文助という男が、雑誌に出した〈極秘〉のレポート、『狙われた街』! 三鷹事件も下山事件もGHQの陰謀だ! ワタシは知ってる。居木井警部という男はなんと占いを信じてて、「五聖閣の霊験は絶対だ」とか、バカげたことを言ってたんだ! どうだ、これって――。
「爆弾証拠じゃないですか!」
とオーケンはタダでもらった遠藤誠の2800円の本を読んで言う。いや、与太でしょうそんな話。ガセを疑ってくださいよ。ほんとのほんとに極秘のものがどうしてなんで遠藤誠の手に入ることになるんすか。