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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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このコーヒーを飲み終えたら

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松井かなみの悩み

 私は性格が暗いから、他人から暗い奴って思われることが多くて、目も一重だから睨んでるのかってよく言われます。もともとはアルバイトで入った仕事場でも、仕事ぶりを認めてもらって正社員になったんだけど、人と対立して孤立してて、私の悪口を言う人が多くて・・・
 ・・・別に陰口叩かれるのは慣れてるんでいいんですけど、お前らこそ群がって仕事さぼってんじゃないかって言いたいくらいです。でも最近、陰口じゃなくってわざと聞こえるように悪口言われたり・・・
 ・・・皆さんの悩みに比べたら自己中心的な悩みですけど、皆さんに慰めてもらえることで、何とか他人を見返してやろうって思えるようになったんです。


 達也の番が来た。彼はドキドキしながらその順番を待っていた。
「じゃ、最後は下村さん、あなたの悩みを打ち明けてください」
町田が促すと、
「はい、では、・・・あの、こういうところで自分の悩みを話すのって、何か気が引けてうまく言えないんですけど・・・」
「気にすることないですよ。皆初めはそうでした」
林文美がそう言うと。
「そうです。少しずつでいいから話してごらんなさい。今日は少しでも、毎週参加しているうちに悩み全部話せるようになりますです」
千田明弘も静かにそう言った。
「そうですか、では・・・」
 達也はその晩、10分ほど家庭の悩みを打ち明けた。それに対し皆は、達也の話に相槌を打って、問題に対して一緒に悩んでくれた。皆自分事のように考えて、言葉少なだが、共感してくれているのが解った。
 1時間半ほどで、その日のカウンセリングは閉会となったが、達也には、あっという間の時間だった。
(ほんのわずかだけど、気持ちが楽になった気がする。でも、どこかまだ話足りないような・・・)

「下村さん、お住まいはどっちですか?」
 松井かなみが、クリニック前の道路に出たところで聞いた。
「お疲れさまでした」
その他の4人は口々にそういうと、自転車で帰宅し始めた。皆、多賀駅の方角に向かうようだ。
「お疲れさまです。今日はありがとうございました」
達也は皆にそう言うと、松井かなみに向き合い、
「私はこっちです」
「じゃ、私と同じですね。よかった、いつも帰りが一人だから心細かったんですよ。上り坂だから私はいつも歩きです」