小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

このコーヒーを飲み終えたら

INDEX|6ページ/22ページ|

次のページ前のページ
 

 皆がこう静かにしていたら、(外からじゃ誰もいないように思えるはずだ)と、この場の雰囲気を感じて理解した。そして達也も皆と同じように、暫く黙っていたが間が持たず、
「あの、今日はこの場がどういうものか確かめに来たんですが」
と声をかけてみた。すると、工場作業員風の中年男性が、
「僕は加田耕三といいます。ここは皆悩みを打ち明ける場です。あなたも何か悩みがあるでしょ」
そういうと、その隣の白髪の男性も、
「そうですよ。なんでも話した方がいいです。そうすることでストレスを開放するんです。私は千田明弘と申しますです。よろしくです」
達也は軽く会釈をした。そして残り3人の女性たちに目をやると、隣の作業服姿の女性が、
「私は松井かなみといいます。こちらは、北田麻衣さん」
と言って、背の高そうな若い女性を指さした。するとその女性は、無言で軽く会釈した。
「麻衣さんは人見知りで、ほとんど話されないんですよ。それともう一人、こちらは林文美さんです。みんな美人でしょう」
その言葉に、部屋の皆の顔がほころんだ。
「皆さん、突然お邪魔してすみません。宜しくお願いします」
皆、頷いてまた無言になった。
そこで隣の作業服姿の松井かなみが、
「あの、私どこかで会ったたことありました?」
「え?」
「さっき入口のところで、私を見て『あなたは』って言われたんで」
「あ、それは・・・」
その時、待合室のドアが開いて、グレーのセーターを着た町田医師が入ってきた。
達也は立ち上がって、
「こんばんは」
と挨拶すると、
「ああ、あなた来てくださったんですね。皆さんこの方は、ええっと・・・」
「下村達也です」
「下村さんです」
と笑いながら紹介すると、
「先生、もう自己紹介終わっちゃったよ」
と加田耕三が言った。
「そうでしたか。じゃ、下村さんは初めてだから、今日は一番最後にしましょう」
「はい」
と言うと、町田医師はクルッと身をひるがえし、
「では、1番は加田さんから」
「また僕から? いつもじゃないですか」
周囲からはまた、薄っらと笑いが漏れた。