北へふたり旅 21話~25話
(俺の言葉が正確に伝わっていねぇ、ということさ。
機械の問題じゃねぇ。
どうやらおれの日本語に問題があるらしい。
ただしい日本語を、文法通りに発音しないと機械が誤作動するという。
むかしの群馬弁や農業用語は、いまどきの機械に通用しないのさ)
(せっかくの文明の利器が役に立たないのか。
仕方ないですね。じゃ、身振り手ぶりで仕事を教えますか・・・
なんだか暗雲がたちこめてきましたねぇ)
(お前さんもそう思うか。俺もそんな予感がしてきた。
担当者へ電話したら単語を並べれば、ある程度は理解するそうだ。
明日、仕事ある。明後日、仕事ない。
そんな風に言えば伝わるそうだ)
(2~3歳児に話しかけてるみたいだな。
なんとも厄介な3人目がやってきたもんですねぇ)
(そういうな。
接客業だったおまえさんなら、ひとを教育するのはお手のもんだろう。
頼むよ。トンをうまく仕込んでくれ。俺のかわりに)
(無理です。お断りします。
それなら、インターネットで日本語講座を勉強させたらどうですか。
ベトナム実習生専門の、オンライン日本語講座というのがありますよ)
(なに。そんな便利な講座があるのか!)
(24)へつづく
作品名:北へふたり旅 21話~25話 作家名:落合順平