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ふしじろ もひと
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novelistID. 59768
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『封魔の城塞アルデガン』第3部:燃え上がる大地(後半)

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「数多の犠牲を払い魂を削って戦ってきた我らを背後から討つというか! ならばアルデガンの長たるこの身一つに使命を捨てた咎を負い、一命に替えただ我が仲間を守るのみ!」
 その声と共にゴルツは印を結び転移した。
「まさか、宝玉を!」グロスの声に振り仰いだ人々の目の前で、ラーダ寺院の尖塔の屋根が吹き飛び、巨大な旋風が吹き上げた。それは地獄の太陽と真正面からぶつかった。
 火の玉の巨体を旋風が巻き込み切り裂こうとすると、さしもの濁った太陽も進むのをやめ、どす黒く変色しながらよじるような動きを見せた。アラードは何が起こっているのか気づいた。
「あれは、まさか解呪の技!」
「なんだと!」グロスの顔色が変わった。
「閣下は火の玉を束ねている妄執を砕くおつもりです!」
「無茶な! そんなことをすれば閣下はっ」
 そのとき火の玉が広がり旋風を呑み込み、食いつぶそうとするように蠢きつつ、ぎりぎりと縮みに縮んだ。だが、そんな濁った太陽を、ついに旋風が内側から突き破った!
 異様な音を立てて火の玉が爆散した。言葉にならぬ怨嗟が尾を引くような響きとともに、大小さまざまなかけらが火の雨と化して大地に降りそそいだ。多くが荒野に落ちて大地を焦がしたが、それでもかなりの炎が城壁や建物に降りかかり激しい火災があちこちで起きた。
「仲間の救助に向かえ! 火の回らぬところに脱出させろ!」
 城壁の上でボルドフの叫ぶ声がした。人々はあらゆる方向へ、守るべき者のいるところへ我先にと走り去った。