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誠に遺憾

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「─ 関知せず、極悪人を助命していた訳ですか」

 いつの間にか私は、右手を握りしめていた。

「<至高の存在>の名に於いて施される慈悲は…万人に対して公平に行われるべきものです……」

 無意識に、拳に力が入る。

「結果がどうであろうと、行いが教義に従った正しいものであれば、それは尊ばれるべきものだと愚考する次第ですが、違うのでしょうか?」

 法壇を見上げる私から、<大天上使>が視線を逸らす。

「しかしながら…<至高の存在>を冒涜する教えの種を摘まなかった事実を、見過ごす訳にはいかない。」

 どうやら私は 正しい行いをした咎で、<天上界>に迎い入れられないらしい。。。

作品名:誠に遺憾 作家名:紀之介