北へふたり旅 16話~20話
北へふたり旅(18) 第二話 チタン合金 ⑧
時間は、午前9時。
わたしはいまゴルフ場が紹介してくれた、F整形外科の待合室に居る。
妻はレントゲン室で手首の撮影中。
撮影から10分後。妻の名が呼ばれた。
「旦那さまもどうぞ。一緒におはいりください」看護師が手招きしている。
呼ばれるまま診察室へはいる。
40前後と思われる担当医がニコニコ、わたしたちを待っていた。
「ゴルフ中の怪我ですか?。たいへんでしたねぇ」
妻もわたしも、ゴルフウエアのままだ。
誰が見てもゴルフ中の怪我と、一目でわかる。
「じつにきれいに折れています」
レントゲンの映像を指さし、担当医が笑う。
「ギブスで固定する方法もあります。
しかしわたしとしては、手術のほうをおすすめします」
メガネの奥の目が笑っている。
「それほど重症という意味でしょうか?」
「そういう意味ではありません。
ギブスの固定期間は、4週から8週間。
その間、手は使まったく使えません。
手首や指の関節が硬くなってしまうという危険性があります」
「手術の場合は?」
作品名:北へふたり旅 16話~20話 作家名:落合順平