北へふたり旅 16話~20話
「わかりました。すぐお迎えに行きます。
そのまま前進していただいて、4ホール目のティグランドで
合流しましょう」
4ホール目は打ち下ろしのショートホール。
そこでプレーヤーのカート道路と、コース整備用の作業道が交わっている。
クラブハウスからやって来る、いちばんの近道になる。
タオルを冷水で浸し、患部へ当てる。
氷をいれたミネラル水が、こんなところでやくに立つとは思わなかった。
事態に気付いて12歳年下美女と、ライバルの美女が飛んできた。
「だいじょうぶ?」
「わたしの打ったボールのせいで、怪我させちゃったみたい。
ごめんね、ママ。痛くない、大丈夫?」
12歳年下美女が、くしゃくしゃの顔で妻を覗き込む。
「だいじょうぶ。あなたは気にしないで。
斜面で足を滑らせたわたしが悪いんだから。」
「でも・・・わたしがミスしたせいで、こんなことになっちゃった。
わたしのせいでママに、痛い思いをさせちゃったのよ・・・」
「もう救助を呼んだ。
その先の交差地点へ、クラブハウスから救援がやって来る。
君たちは気にしないで、プレーをつづけてくれ」
ゴルフ場の対応は早かった。
わたしたちのカートが合流地点に着く前に、救助のカートが姿を見せた。
「ほら。救助のカートがやってきた。
君たちは気にしないで、プレーをつづけてくれ」
「だって・・・」
「みんなで病院へ行っても仕方ないだろう。
いいからプレーをつづけてくれ。
あとで連絡をいれるから」
(18)へつづく
作品名:北へふたり旅 16話~20話 作家名:落合順平