小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

北へふたり旅 16話~20話

INDEX|3ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

 
北へふたり旅(17) 第二話 チタン合金 ⑦

 「折れたみたい」妻がつぶやく。

 「お・・・折れた!。ホントか。どこだ!」

 「手首。いうことをきかないの。ぜんぜんダメ」

 手首をささえた妻が、カートの後部座席へ座り込む。
手首は腫れていない。色も変わっていない。
しかし。折れたという右手は、妻の左手のうえでぐったりのびている。

 「だって君、2打目を打ったじゃないか。たったいま」

 「打った瞬間はっきりわかったの。かんぜんにダメだって」

 「い・・・痛くないのか!」

 「う~ん・・・しびれているからよくわかんない」

 尻餅をついたとき、右手がとっさに身体をかばったらしい。
そういえば妻の右手が地面をたたいたのを、見たような気もする。
そうと解れば躊躇している暇はない。
呼び出しのマイクを握る。
 
 「けが人が出ました。至急対応をお願いできますか」

 「はい。場所はどこでしょうか?」

 「ナンバー3のモンスター回廊。2打地点です。
 斜面で滑りました。
 転倒したさい、右の手首を骨折した可能性があります」