北へふたり旅 11話~15話
8月の最終週。ひとまわり下の美女から電話がかかってきた。
鳴ったのは、カミさんの携帯。
あいさつもそこそこ、早朝ゴルフのお誘いがやって来た。
「明日の朝、どう?。早朝のスルー」
いいも悪いも毎日、暇を持て余している。
「どこ?」
「いちばん近い、Fゴルフ場でどう?」
「何時?」
「5時10分のスタート」
「了解」
「マスターもね。4人で回りましょう、ひさしぶりに」
「大丈夫でしょう。たっぷり時間をもてあましているもの」
ひとまわり下の美女はいまでも、私のことをマスターと呼ぶ。
そういえばゴルフ仲間たちも同じように、相変わらずマスターと呼んでいる。
「じゃよろしく。明日ね」
それだけ言って電話が切れる。
「おい。おれの都合は聞かないのか?」
「あら。12歳も年下の美女と楽しくゴルフができるというのに、
なにか不満でもあるのかしら、あなたには?」
「不満はない。しかし、俺にも心の準備ってものがある」
「予定があるの?。ゴルフ以外に?」
「特にないさ・・・
しいて言えば4人目が誰か、聞きたかっただけだ」
(12)へつづく
作品名:北へふたり旅 11話~15話 作家名:落合順平