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北へふたり旅 11話~15話

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北へふたり旅(11) 第二話 チタン合金 ①

 話は、ベトナムがやって来る少し前へさかのぼる。

 Sさんの農場で働きはじめて10ヶ月、最初の夏がやってきた。
7月の後半。4月からのナスが最後をむかえる。
最後の日。いつものように収穫を終える。
そのままナスの木の根っこを、片っ端からぜんぶひき抜く。
根が残っていると枯葉剤が効かないからだ。

 この日を最後に、長い夏休みへ入る。
こちろん休みに入るのは、パートさんたちだけ。
8月は全休。つぎに呼ばれるのは9月の半ば。
キュウリがはじまるまでの間、休み。
ほぼ2ヶ月間、無収入になる。しかしそのぶん時間はたっぷりと有る。

 このタイミングを待っていたように、あちこちから声がかかる。
ゴルフの誘いだ。
群馬の夏はとにかく暑い。日中35℃は日常茶飯事。
猛暑で有名になった館林市と埼玉県の熊谷市は、目と鼻の先。
熱い街として急浮上している伊勢崎市は、すぐお隣。
3市のトライアングルの真ん中に位置している太田市が、
熱くないはずがない。

 当然。誘いも涼しい早朝か、標高の高いゴルフ場が中心になる。
標高1100メートルのゴルフ場や、赤城山の中腹のゴルフ場には涼しさがある。
直接の陽ざしは強いが、木陰に入るとほっとする。
早朝ゴルフのスタートは午前5時。
この時間で充分明るい。朝日はすでに東の空にある。