北へふたり旅 6話~10話
北へふたり旅(9) 第一話 ベトナムがやってくる ⑨
それから2日後。ベトナムの初出勤の日がやってきた。
出迎えるパートの方が緊張している。
朝8時。Sさんに連れられて、ベトナムの2人がやってきた。
中肉中背のテフは、28才の既婚者。
丸ぽちゃ体型のドンは、22歳のおばあちゃん子。と紹介された。
2人とも「おはようございます」と元気な日本語で挨拶した。
流ちょうな日本語だ。
(ねぇ。たった2ヶ月であんな風に、ベトナム語を話せるようになるかしら。
あたしたち?)妻がわたしのわき腹を、突く。
「無理だろうな。
おまえときたらいまだに日本語を間違えることがある。
3年かかってもおそらく、ベトナム語を話せないだろう」
「失礼ね。じゃあなたは出来るの?。ベトナム語」
「シンチャオ、これひとつでOKさ。
朝でも昼でも夜でもこれひとつ。これで挨拶したことになる」
「早いわね。もう覚えたの。ベトナムの挨拶を」
「これだけさ。あとは、テポドンに教えてもらう」
作品名:北へふたり旅 6話~10話 作家名:落合順平