北へふたり旅 1話~5話
北へふたり旅(3) 第一話 ベトナムがやってくる ③
「どこの監理団体も、少ない人数で運営している。
おばちゃんはとにかく忙しい。
農家のビニールハウスへ入るのに、いちいち着替えている暇などないさ」
「そんなに忙しいのか?。管理団体の仕事ってのは・・・」
「5人しか、いないんだぜ。
代表をかねた事務局長。おばちゃんは総務と経理を兼務している。
書類担当の事務屋がひとりいて、そのほか通訳が2名。
この5人で、大人数を管理しているんだ。
忙しいなんてもんじゃない。想像を絶するフル回転だ。
一日の行動半径は、かるく100キロをこえる」
「なるほどね。白いおばちゃんがハイブリッド車で走り回るわけだ。
で、おばちゃんの北関東アジアン・ビジネスは、
いま何人くらいいるんだ?」
「正式な数字はわからない。
おそらく130人から、150人くらい抱え込んでいるだろう。
ほとんどパンク状態だ。
一ヶ月に一度、巡回指導していくはずだが、それも無理な状態だ。
実態が把握できないまま、放置状態がつづいている」
作品名:北へふたり旅 1話~5話 作家名:落合順平