小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

オヤジ達の白球 81話~最終話

INDEX|7ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 


 「監督。胸が苦しい。いやに鼓動も速い。
 身体がどうかなっちまったようだ。熱まで出てきたような気もする・・・」

 「風邪でもひいたか?」

 「風邪なんかひいてねぇさ・・・」

 「じゃ、どうした。プレイボールの声はかかったぜ。
 おまえさんが投げてくれなきゃ、ゲームははじまらねぇ。
 みんなお前さんの投球を待ってるぜ」

 「わかってるさ、それくらい。でもよ・・・
 なんだか、身体が動き出さねぇ」

 「緊張のし過ぎか?。それともプレッシャーに負けているのか?」

 「みんなには、ずいぶん迷惑をかけた。
 こんな風にマウンドへ戻ってこられる立場じゃねぇが、
 またチャンスをもらった。
 そんなことを考え始めたら、なんだか、体が動かなくなってきた」

 「よく言うぜ。敵前逃亡した卑怯者が、一人前のことをいうじゃねぇか。
 この程度のお膳立てで感動してどうする。
 グランドの中での失敗は、グランドの中でしか取り返せねぇ。
 そのくらいは、おまえさんでもわかるだろう」

 「わかっているさ、そのくらいは。だからこそ・・・」

 「いいからもう、なにも考えるな。
 慎吾のミットをめがけて、思い切り投げろ。
 せっかくみんなが用意してくれたマウンドだ。
 感動するのは、試合に勝ってからにしろ!」

 思い切り投げろよ。
耳元へそうささやいた祐介が尻をポンと叩き、ベンチへひきあげていく。
熊が心配そうに祐介をみあげる。