オヤジ達の白球 81話~最終話
マウンドへ到達した祐介が、いきなり右手をふりあげる。
「あ・・・あぶねぇ!」セカンドから駆け付けてきた寅吉が、あわてて
祐介をとめる。
「監督。ダメだ。気持ちは分かるが、暴力はいけねぇ」
「離せ寅。俺をとめるんじゃねぇ。こうでもしなければこいつの目は
覚めねぇ!」
「そいつは俺も同感だ。殴ってやろうかとホントは思っている。
しかし、こらえてください監督。
気持ちはわかりますが、ここはグランドです。
試合がはじまるまえ、身内がグランドで暴力をふるうなんて、
聞いたことがねぇ。
熊と俺に免じてとりあえず、この手をおろしてください」
「冗談じゃねぇ。ここで殴らなきゃ、消防チームにあわす顔がねぇ。
俺のこのこぶしには、消防チームの怒りもふくまれていると思え。坂上!」
「それだけはダメだって監督。暴力はご法度だ。
ここは神聖な場所だ!」
「神聖な場所?・・・」
作品名:オヤジ達の白球 81話~最終話 作家名:落合順平