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小さな世界で些細な活動にハゲむ高校生たち 2

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第九話 ここが夢の中であることは間違いない


 藍色のコートを着たJKが、駅の改札前のビルの壁際で眠っているからだ。

「ちょ、本当にこんなところで寝てたのか? 起きろ、起きてくれ」

 揺すってみても、全然起きない。

「恥ずかしいぞ、皆が見てる。おい起きろ」

 苦しそうな寝息を吐きながら。一向に起きる気配が無い。
 藍色のコートを布団にして、ジャージ姿を大衆に晒し、鳥のフンがあちこちに落ちた汚らしい地面で、苦しそうに寝ている。

「これじゃホームレスと同じだ。仙台に戻って家の布団にくるまれ、おい」

 ゆさゆさと激しく動かす。しかし全く起きない。

「おい!」

 怒鳴る。人に見られた……。でも放っておけない。

「起きてるよ」

 ぱち、と目を開けた。

「ここは駅前だ。人が寝るところじゃない。ほら、さっさと立ち上がって」
「無理。起きたら仙台に帰れって言うんでしょ?」
「……言わないよ。だから起きて」

 ええい、面倒だ。腕を引っ張って強引に引き上げよう。

「だああっ! 目が! 目が!」

 太陽光と同じくらい眩しい黄緑色の光! これは間違いない、右手から放射されている。

「やめてくれ! やめてくれ! 眩しくて失明する!」

 光だけではない、信じられないほどの熱が俺を取り巻いて、体から物凄い量の汗が噴き出し始めた! これじゃ丸焼きだ! 肉の塊と化して、鳥のフンで彩られた地面へ転がる運命が待っている! 嫌だ!

「はあ、はあ、はあ……」

 高温が、どうやら酸素濃度を著しく低下させているようだ。酸欠がひどい。呼吸がままならない。

「マサ樹くん、あなたはこんなに苦しんでいるのに、見て? みんな、誰一人、あなたをチラ見すらしていない。これが現実なの。どれほど苦しんでようと、他人には関係ない。だって人はそれぞれ自分のことで精一杯で、誰かのことを構ってる余裕なんてどこにもないもの。それはね、自分さえ良ければいいのとは違う。自分のことすら良いとは思えない結果なの」
「がはっ……そ……んな……がはあああっ……ゲハァッ」