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今さら台湾旅行記

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 台北市内ではポロシャツに薄手のセーターだけで充分だったのですが、雨も降っているので雨具を兼ねた撥水性のウインドブレーカーを着込みました、風が強くて冷たいのでそれでもちょっと寒くて後悔、まあ、動けばそうでもないだろうと気を取り直して歩き始めます。

『千と千尋の神隠し』のモデルになったと言うことで人気の九份ですが、アニメに出て来たシーンがそのまま現れるわけもなく、それほど広くもありません、丘に張り付くように伸びる坂道があり、それと直行する道に折れると自然と丘を降りる、それだけなのですが、道の両脇はさながらお祭りの縁日状態、平日で雨とは言え人が溢れています。
 そんな中、傘をさして歩くのはちょっと骨でしたが、台北の街とは打って変わって異国情緒は堪能できます。
 この日の昼食は『買い食い』と決めていました、で、妻が最初に指さしたのはフランクフルト、まあ、丁度お腹も空き始めたところでしたからね。
 台湾料理じゃないんかい、と言ったところですが、台湾のソーセージは独特だと言うことは知ってました、甘くて八角の風味が効いているんです、結局、この味付けがこの旅行の最後まで付きまとうことになるのですが、その口開けがこのソーセージ。
 妻は知らなかったらしくて『何これ?』と驚いていました、『何これ? 美味しい』ではなくて『何よ、これ』と言う調子、あまり口には合わなかったらしいですね、どちらかと言えば甘党の妻なのですが、甘いものは甘いもの、しょっぱいものはしょっぱいものとはっきり分かれている方が良いらしいです、まあ、それと知らなければソーセージが甘いなんて想像もしませんよね。
 次に買ったのは草餅、日本の草餅よりねっとりと柔らかく、中味の餡は甘さ控えめ、こちらは妻もお気に召したらしいです、そして、少し腹の中から温めようとガイドブックにも載っているぜんざい屋へ。
 他でも食べることになるのですが、台湾では芋餅が結構食べられています、芋が主原料と言っても、ニョッキより更にもちもちした食感、妻もその芋餅は気に入ったようですが、ぜんざいの汁はなんとも薄く、甘さも思い切り控え目、そこは物足りなかったようで……。
 台湾の食べ物は概して大きめ、このぜんざいもカップ麺くらいの容器に入ってます、実はその三種だけで結構お腹は満足したのですが、寒いし海鮮スープくらい食べたいね、と更に歩きますが、結局適当な店が見つからずに断念。
 と言うのも、妻はやや潔癖症気味でお腹もそう強くはない、いかにも屋台の食べ物と言った風なものにはちょっと腰が引けてしまうのです、おまけに私は行列が嫌いなクチ、台湾では行列の店は美味いと聞いていましたが、雨の中では並ぶ気がしないのです。
 こう書いて行くと九份が気に入らなかったように見えるかもしれませんが、そう言うわけではありませんよ、同じ黄色人種、漢字文化の国ですがやはりセンスは違います、『千と千尋』好きかどうかは別にしても、ちょっと怪しげな異国情緒を味わうにはやはり良い観光地だと思います、ただ、雨が本降りだったのと風が強くて冷たかったのが大きなマイナスだったことは否めません、しとしと雨くらいならば却って風情があるかもしれませんけどね。
 そして九份の締めは湯婆々の家のモデルになったと言われる茶房、『阿妹茶楼』。
 ここはテラス席がメイン、高台から海も眺められ、丘に張り付くように立っているエキゾチックな建物も眺められます、天気が良ければ台湾旅行最高の思い出の一つになるだろうな、と思います、ただ……やはり寒すぎたw
 メニューはお茶セットで一人前300元、1,000円くらいになるので台湾感覚ならぼったくりなのでしょう、でも入る時に『一人前300元だがそれでいいか?』と聞いてくるあたり、良心的な感じもしますね、日本ではお茶とお菓子のセットで1,000円なら別に不思議じゃないし、九?に来てここに入らないと言う選択肢はないでしょう?
 席に着くとウエイターがお茶の説明に現れ、正しい淹れ方をレクチャーしてくれます、これが結構めんどくさいのですが、言われたとおりに淹れてみると……薄いw 中国茶は香りを楽しむものとは知っていましたが、日本人的感覚なら薄すぎます、結局レクチャーを無視して濃く淹れて楽しみました。
 レクチャー通りなら一人15杯飲めることになり、おそらく台湾セレブはそうやって午後いっぱいお茶を楽しんだのでしょうね……我々も晴れていて寒くなければもう少し粘ったのでしょうが、日本からの観光客はそこまでゆったりしてないですw

 帰りは最寄りの駅までタクシーを使い(メーターが付いていなかったので確かめたが、看板に出ていた通り205元だった)、台湾鉄道に乗り込みました。
 実はこのルートは良く調べていなかったので駅員に聞きました。
 ガイドブックには台湾では日本語がかなり通じる、と言うようなことが書いてあったのですが、実際はそうでもありません、ホテルでも日本語ができるスタッフは数えるほどだしレストランでも同じ、一般の人はほとんど日本語がわからないと思った方が良いですね、ただ、お互い片言の英語なので却って理解しやすかったかもw
 この駅でも電光掲示板を指さして『タイペイ、ストレート?』『イエス、イエス』で事足りました、そんなもんですw しかも台湾の人々はこちらのカタコトイングリッシュでも一生懸命理解しようとしてくれますし、あちらもカタコトイングリッシュが通じるかどうか不安なんでしょう、一生懸命説明してくれます、そうやって歩み寄る姿勢は良いですよねぇ、とてもフレンドリーな感じで。
 電車のルートは行きの高速道路とほぼ同じ、ほとんどの区間で並行している様で景色は変わらないんですが、乗客の出入りがあり、時刻的に高校生くらいの若者が乗り降りしていたのでそれなりに楽しめました、いや、JKを見て喜んでいたと言うわけじゃないですよ、極端に短いスカートの娘もいませんしw 日本よりちょっと真面目で、真っ直ぐに青春してるなと言う印象(どんな印象じゃいw)を受けました。

 台北駅に着き、とりあえずホテルにチェックイン。
 今回選んだのはパレ・デ・シンと言うホテル、現地語では君品酒家。
 ここ、なんと5つ星の高級ホテル、実は当初は一駅離れた中山駅にあるプリンス系のホテルを利用するツアーに申し込んでいたのですが、妻がプラス2万円で5つ星に泊まれるツアーを見つけ、『どうしてもこっちが良い』と言うことで変えたのです。
 確かに高級感あふれるホテルですが、建築士の目から見ると……ちょっとデザイン優先過ぎるかなと言う気がしないでもなかったです、私ならもう少し使い勝手を優先するかも……まあ、5つ星ホテルに宿泊するなんてことは今後もないでしょうから、これも経験ですね。
 ただ、照明が暗いのには閉口しました、スーツケースを整理するにも暗すぎるくらい。
 恋人同士や新婚さんならこのムードが良いんでしょうけど、30年連れ添った間柄ですとムードよりも実を取りたくなります、結局フロントに頼んでスタンドを追加してもらってなんとか……。
 
 一休みして夕食に。
作品名:今さら台湾旅行記 作家名:ST