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奇っ怪山の未確認生物たち

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 ここまで『孝』で盛り上がってしまえば、嫌だとは言えません。
「ヨッシャー! 元・未確認生物発見同好会の浩二会長のご要望とあれば、姫さまのエスコートでお伴させてもらいましょう」
 私はついつい調子に乗って、こんな事を吐いてしまいました。その上にグラスを浩二のグラスにカチンと、とどのつまり『孝』に出会うことを祈念しての乾杯!
 こんな成り行きに娑羅姫は「私どもの奇っ怪山に来ていただくことは嬉しいです。だけどね、条件があるのだけど……」と今度は微妙に顔をしかめられました。

「えっ、それ聞いてなかったぜ。何なの?」
 浩二が真顔で聞き返しました。
 このやり取りで私は、えっ、意思疎通できてないのか、ということは姫は女友達でなく、ただの知り合いってことじゃん、こう察知し、どことなく嬉しくなってきました。
 そのせいか、思わずニヤリと。
 だけれど浩二のただの知り合いレディは、私を一瞥し、淡々とあとを続けられました。
「壇ノ浦の戦いからすでに800年以上の歳月が流れました。その間私たちは落人として暮らしてきたわけです。さあれども、その間村人たちを分断してきた問題があります。それを両兄殿(あにどの)に解決していただきたい、それが条件です」

 魔界平娑羅という女性がわざわざこの居酒屋まで出掛けてきたのは、一種の取り引きのためだったのか、ガクッ!
 されども、ジャ・ジャ・ジャ・ジャーン!
 ♡♡♡ 兄殿 ♡♡♡ 兄殿 ♡♡♡ 兄殿 ♡♡♡
 この敬意ある言葉に浩二も私も舞い上がりました。
 だって、兄殿の意味はもちろんただの知り合いではないし、ただの女友達という関係でもない。少なくともそれ以上ってことですよね。
 浩二も私も今までの人生の中で、これほどまでに女性から心頼みにされたことはありません。
私たち二人は思わず口をそろえて叫んじゃいましたがな。
「妹君、お任せくだされ!」