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奇っ怪山の未確認生物たち

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 そしてその言葉とほぼ同時に、水面がいきなりゴッゴーと噴き上がったのです。
 高さは10mはあるでしょうか、その水柱の中には『あいつ』が……、浩二も私も目撃したのです、月光に輝くドラゴンを!
 もう腰はフニャフニャ、いわゆる腰抜けで、動けませんがな。
 ああああ、喰われてしまう!

 このような絶体絶命の場において、紗羅姫は宙に浮かんだドラゴンに、なんとなんと、「シッ、シッ、……、あっちへ行きなさい」と命令なさるではありませんか。
 一体これは、どういうこと?
 もう訳わかりませ~ん。
 いずれにしてもですよ、なんとドラゴンは私たちをギョロッと3秒間睨み付け、その後月が照らす山頂目掛けて飛んで行きました。
 が、当然浩二も私も失神一歩手前。
 そんな事態に陥ってる時に、紗羅姫は仰ったのです。
「800年前に村で飼っていたムカシトカゲが池に入り、進化を遂げたのよ」

 ムカシトカゲがドラゴンに……、確かにツチノコの反対バージョンです。
 なるへそ!
 恐怖の中で妙に感心していると、さりげなく「さっ、山を下りましょ、もしこのまま固まったままでいると、明け方に戻ってくるドラゴンに喰われてしまうわ」と宣われます。
 これに野生人・浩二はすぐに意識を戻し、ブルッと身震いを一つしてから「えっ、そうなの。いずれにしても、ありがとう、お陰で念願のツチノコに会えたし、ドラゴンも見ることが出来たよ。さあ直樹、片付けて、すぐに引き上げよう」と部長としての指示を飛ばしてきました。

 もちろん私はこれに逆らうつもりはありません。
 されどもです、一つだけ言っておきたいことがありました。
「なあ浩二、今まで未確認生物発見の、俺だけが割を食う旅によく付き合わされたよな、だけど今回は結構面白かったぜ。なぜなら今まで見たことのない未確認生物に遭遇したからだよ」
 私はちょっと遠回しに感想を述べました。
「それって、何が言いたいんだ?」
 浩二は私の本意が読み切れず、顔を私へと突き出してきました。これに私は痩せた身体全体を引き気味にして、言ってやりました。
「今回の一番の収穫は、平家の落人村の……、娑羅姫だよ。だからこれからのお前との未確認生物の捜索の旅は、姫も一緒じゃないと、俺は――、行きませ~ん!」
 こんな突然の宣言に、娑羅姫にはちょっと手前勝手すぎるかと思い、「これからもよろしくお願いします」と頭を下げました。