星に願いを
そして彼の場合
彼は兎に角、変わりたかった
築いた物が無意味なくらいに変わりたかった
思い立ったが吉日
そう言われれば、毎日が吉日
校門に伸びる細い影
彼は足を止め、来た石畳の道を振り返る
そうして仰ぐは学び舎の屋上
途中、立ち入り禁止のロープを潜り
斜陽が僅かに掛かる階段を一段一段、昇る
覚悟の上で手を置く、ドアノブ
ソレが掛かっていようが壊れてなかろうが関係ない
彼にはソレは無意味だ
ドアノブを捻り、鉄の扉を押し広げたらもう後戻りは出来ない
一息つき、確認するように階下を振り返る
当然だ
誰もいない
陽の届かない薄暗い踊り場を凝視しつつ、彼はその一歩を踏み出す