星に願いを
そして彼女の場合
彼女は兎に角、終わりたかった
始めた事が無意味なくらいに終わりにしたかった
思い立ったが吉日
そう言われれば、毎日が吉日
校門に向かう放課後
彼女は足を止め、来た石畳の道を引き返す
そうして目指すは学び舎の屋上
途中、立ち入り禁止のロープを潜り
足音を消しつつ薄暗い階段を一段一段、昇る
駄目元で手を掛けた、ドアノブ
鍵が壊れていたのか将又、鍵などされていなかったのか
すんなり回り、重い扉が開いたのは数日前の事
可笑しなもので
終わりの意思だけで
終わりの準備を怠っていた事に彼女は気が付いた
立つ鳥跡を濁さず
結局、回れ右をし再び立ち入り禁止のロープを潜った所で
巡回中の用務員と出くわすも
彼女は何食わぬ顔で挨拶し学校を後にした
だけど彼女は知っていた
終わりと言いながらも終わりの覚悟が出来ていない事
彼女は無意識に知っていた
現に再度、訪れた時
以降、鍵が掛かっていないドアに向かって苦笑いしてしまった
あの用務員、仕事しろよと