星に願いを
悪魔
「僕は」
「理想の自分になりたかった」
自分の性が疑問だった
そんな毎日だ
「勉強の合間、寝る間も惜しんでブラウジングした結果」
「悪魔契約に関するサイトを見つけた」
頭上を覆う闇を仰ぐ
生憎、地上の光に阻まれて届かない星星
でも全てが光を失った訳じゃない
悪魔を召喚する方法は他にもあるだろう
そして、この悪魔は流れ星と共にやって来るという
「星に願った」
「次の瞬間、星が流れた」
「次の瞬間、貴方が目の前にいた」
あの夜のようにゆっくりと上総を見入る
お互い一歩も動かず、その距離は縮まらない
「最初は渋っていた貴方だけど」
「最終的には僕と彼女、二人分の魂を差し出す」
「僕との賭けに乗ってくれた」
口調は軽いが
暗に強調された「賭け」という言葉
彼女の黒鉄色の眼差しが
上総に提案している
彼女の視線を受けて上総は眼を細める
「そうだ」
「これは契約ではない」
そうして苦苦しく吐き捨てる
「俺とお前の、賭けだ」