星に願いを
彼等の場合
「何と、ハッピーエンドじゃないか!」
高層ビル群に囲まれた
一際、高層ビルの屋上の縁に立つ
二つの人影
闇に溶ける彼等は
闇に等しい黒衣の外套に身を包んでいる
若干、高音の和泉(いずみ)の声は良く通り
上総(かずさ)は刹那、眉を顰める
「ハッピーエンドだと思うか?」
そうだろ?
と、両手を広げ賛同を求める和泉の視線を受けて
上総の鉄仮面が一瞬、歪む
「後にも先にも」
「手の平の上で踊らされたのは初めてだ」
轟音と共に突風が耳元で唸る
彼等同様、黒衣の外套も揺らぐ事はない