星に願いを
幸せに
期待するから
絶望する
期待しなければ
絶望しない
そんな簡単じゃない
何故か
あたしは希望を知っている
何故か
あの人が優しかった頃を知っている
彼の両親の事を思わない
と言えば、嘘になる
自分の顔を覗き込む
以前の自分の顔を食い入るように見る
あの人の事を思わない
と言えば、嘘になる
見開いた彼女の目から
涙が溢れる
止めどなく溢れる涙は
彼女の顎を伝う雫となり、彼の頬に落ちる
あたしの事を思わない
と言えば、嘘になるんだ
「幸せになって」
絞り出すような、彼女の声
彼は彼女の震える胸に頬を埋め
華奢になった腕を伸ばし、思い切り抱き締める
「この身体」
「君だと思えば愛おしい」
あの日
「じゃあ、あたしは君がいい」
彼女の
何気ない一言
全てを
決めるには
充分過ぎる一言
「幸せになろう」