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恥化しキミのこと

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恥化しキミの髪




風が吹いた。
揺れる木の葉と同じように髪がなびく。
柔らかな陽ざしがやや栗毛色というか、地面に落ちて やや枯れかけた栗の毬(いが)のような色合いにきらめかせる。生え際はその毬の中のように白く地肌と似た色を見せている。
それなのに 手入れされたその髪の毛は、毬の硬いがさつきとは遥かに違い、柔らかな風合いに見える。触れてみれば、きっと絹のような手触りだろう。
しかし、環境や身体の壊れつつある細胞を維持するのは大変、誰にとっても例外はない。
ところどころキューティクルの波が崩れているのか、乾燥した松かさのように 撫でるとシャリシャリと微音をたてる。

やや強めの風が吹いた。
穏やかな春風を呼び込む前の一陣の風が背中から髪を乱す。
肩を飛び越し、耳を塞ぐように顔に掛かる髪を 首を捻り回避しようと試みる。
一瞬の成功は、一瞬のうちに逆転された。
風に立ち向かい 身とともに髪をひるがえすと、いつもちょうどよく額に掛かる長い髪も 肩よりも長く背中に掛かる髪先とともに風との戯れに広がった。

踊る。踊る。

どれほどの白さを秘めているのかわからない髪は 定期的な色染めをしている。
陽ざしになびく栗毛の駿馬(しゅんめ)の鬣(たてがみ)のような髪色の陰に まだ色素を温存している髪が濃く見える。

艶やかに結い上げたその髪に きっと惹きつけられる・・・。


作品名:恥化しキミのこと 作家名:甜茶